公開: 2023/12/17
改訂: 2024/1/8

# C.企業経営理論 MEMO

# 企業戦略

  • 自社の直機目標を立てて、達成のためにヒト/モノ/カネ/情報のリソースを割り当てることです。

# 成長戦略

  • 環境の変化に対応するために構造変革を行うことです。

# 競争戦略

  • 競争相手と戦う方法のことです。

# 撤退戦略

  • 不採算部門を有利に撤退する方法のことです。

# ドメイン

  • 企業または事業が活動する領域のことです。
  • 経営資源と市場環境を踏まえて、「誰に、何を、どのように」提供するかを決めます。

# エイベルのドメイン理論

  • エイベルはドメインを提唱した人です。
  • 3つの考え方からなるとしています。
    • C: Customer(ターゲット顧客)
    • F: Function(顧客が求めている機能)
    • T: Technology(自分たちが持つ技術)

# 企業ドメイン

  • 企業が提供する領域のことです。

# 事業ドメイン

  • 企業戦略をもとに、事業ごとに定めるドメインのことです。
  • 特に大企業だと複数の事業をもつことがあり、各事業部で個別のドメインを持ちます。
  • 企業ドメインと比べ、より具体的な内容を定義します。

# ドメインの再定義

  • 市場環境の変化などによってドメインを変更することです。
  • 変更後のドメインはいくつかの障壁によって進展しにくくなります。
    • 仕組みの再構築にかかる時間の問題
    • 新しいドメインの魅力不足
    • 顧客から得られない信頼
    • 従業員の抵抗

# 経営戦略の策定プロセス

  • 経営戦略は次のプロセスで策定します。
    • 経営理念
    • 経営目標
    • 戦略ドメインの策定(SWOT分析の結果を使用)
    • 全体戦略の策定
    • 事業部別戦略の策定
    • 機能別戦略の策定
    • 実行

# 経営理念の作成

  • 経営活動を支える根本として経営者が重視している信念や理想を表現したモノです。

# 経営目標の設定

  • 長期的に達成する姿を数値化したものです。
  • 株主や債権者などの外部利害関係者に方向性を示す効果があります。

# SWOT分析

  • 自社及び取り巻く環境を分析する手法です。
    • 自社の分析: Strengths, Weaknesses
    • 外部環境の分析: Oppotunities, Threats

# ドメインの決定

  • 企業または事業の活動する領域のことです。
  • 経営資源は限られているため、市場の機会と自社の強みを活かすべきです。

# 全体戦略

  • 企業ドメインを実現するための戦略のことです。
  • アンゾフの成長マトリクスによって、リソースの割り当てを行います。

# アンゾフの成長マトリクス

  • 製品や事業を展開する際、どの領域を対象するか戦略的な意思決定を行うためのフレームワークです。
  • 下表のような4つの領域から戦略を選択します。
    既存製品 新規製品
    既存市場 市場浸透戦略 製品開発戦略
    新規市場 市場開拓戦略 多角化戦略

# 市場浸透戦略

  • 既存市場で既存製品の売上を増加させる戦略です。
  • 製品の改善、リピート販売の増加を目的とした戦略を取ります。

# 製品開発戦略

  • 新しい製品を既存市場に出す戦略です。

# 市場開拓戦略

  • 既存製品で新市場を開拓する戦略です。

# 多角化戦略

  • 新規市場に新規製品を出したり、買収によって新製品で新しい市場を狙う戦略です。
  • シナジーが発揮しづらいデメリットがあります。

# 戦略的事業単位(SBU: Strategic Business Unit)

  • 企業が複数の事業を営む場合に、戦略的に個別の事業部のことを呼ぶ名称です。

# 事業部戦略

  • SBU単位で選択する競争戦略のことです。
  • 企業全体の戦略の範囲内で、SBUごとの戦略を策定します。

# 機能別戦略の策定

  • 企業の機能ごとに策定する戦略のことです。
    • マーケティング戦略、生産戦略、人事戦略など

# シナジー

  • 経営資源やドメインによって得られる相乗効果のことです。
    • 資源の 1 + 1 が、2 ではなく 3 にも 4 にもなるような組み合わせのことです。

# スタティック・シナジー

  • 静的なリソースをもとにシナジーを考えることです。
  • 検討時点で手元にあるリソースを元に検討します。

# ダイナミック・シナジー

  • 見えざる資産や他分野の活用を考えたシナジーのことです。
  • 将来のことを含めて検討を行います。

# ABM: Activity Cost Management

  • 企業の活動ごとに基準コストを設定して、活動時間で配賦する考え方です。

# DCF: Discount Cash Flow

  • 企業価値やプロジェクトの価値などを現在価値に割り引いて価値を比較できるようにする考え方です。

# ローリングプラン

  • 経営計画を修正する際の手段です。
  • 計画のずれをその都度修正します。

# コンティンジェンシープラン

  • 不測事態に対応するための計画です。
  • 予測できない事態が発生したら、速やかに計画を差し替えることで、損害を最小限に抑えます。

# BCP(事業継続計画)

  • 自然災害などのクライシスによる損害を最小限に抑える目的で作成しする計画です。
  • 早期復旧の手順などをあらかじめ定めておき、事業停止の影響、中断可能日数などを把握しておくことで、復旧の優先順位を設定します。

# 成長戦略

  • 企業に利益をもたらす分野への対応方針のことです。
  • 新技術開発/市場開拓/他組織との連携/M&A などがあります。

# 支配力

  • 生産能力の強化/広告宣伝/マーケティングなどを活用して、参入障壁を用意することです。

# 参入障壁

  • 他社が参入できない障壁を設け、市場の支配力を高めることです。
  • 参入障壁が低いと競合の参入により競争が激化し、価格競争が始まります。

# リストラクチャリング

  • 事業の再構築のことです。
      • Structureは構造や体制のことなので、事業再編となります。
  • 利益率の低い事業をカーブアウトしたり、従業員を削減することで、自社の強みが存分に生かされ、高収益な企業体質になることができます。

# 多角化の理由

  • 多角化を行う理由は以下のようなものがあります。
    • 主力製品の停滞に対応するため: 生き残りのために多角化を模索します。製品ライフサイクルが成熟期/消費者ニーズの変化/産業構造の変化などが要因となります。
    • 収益を安定化させるため: 季節や天候条件などで売り上げが左右される企業は、安定的な収益を得るために多角化を模索します。
    • 経営リスクを分散するため
    • 余剰資源を有効活用するため

# 関連型多角化

  • SBU(戦略事業単位)が持つそれぞれの技術/ノウハウ/流通チャネル等を共有する多角化です。
  • 既存事業と新規事業の間でシナジー効果が期待されます。

# 無関連多角化

  • SBU間の関連性が極めて希薄な多角化です。

# アンゾフの多角化戦略

  • アンゾフは多角化を次の4種類に分類しています。
    • 水平型多角化
    • 垂直型多角化
    • 集中型多角化
    • 集成型多角化

# 水平型多角化

  • 現在の顧客に対して新しい製品を投入する多角化です。

# 垂直型多角化

  • 製品の川上/川下に対する多角化です。
  • 川下(消費者に近い方)への多角化を前方的多角化と言います。
  • 川上(製造に近い方)への多角化を後方的多角化と言います。

# 集中的多角化

  • 現在の製品と関連する製品を投入する多角化です。

# 集成型多角化

  • 現在の製品/現在の市場に関連のない中で新製品を投入する多角化です。
  • コングロマリット多角化とも言います。

# ルメルトの多角化戦略

  • ルメルトは事業間の関連性の観点で多角化を2種類に分類しています。
    • 集約型多角化
    • 拡散型多角化

# 集約型多角化

  • 事業間の関連性がメッシュ型になる多角化です。
  • 経営資源をさまざまな分野で共通利用することができます。
  • 範囲の経済を重視したリソース配分が重要です。

# 拡散型多角化

  • 既存の経営資源で新分野に挑戦し、その新分野からさらに新分野へと進出する多角化です。
  • 1つ1つの事業は関連がありますが、企業全体としては緊密なつながりを持たない資源展開です。

# M&A

  • 合併(Mergers)と買収(Acquisitions)のことです。
  • 事業を買う側を「買収企業」、事業を売る側を「被買収企業」といいます。

# M&Aの動機

  • 買収企業の動機には次のようなものがあります。
    • 海外の会社を直接買収し、海外展開を進めるため
    • 市場競争力を強化するため
    • 破綻企業の再生を行うため
    • 新しい技術をすぐに手に入れるため
  • 被買収企業の動機には次のようなものがあります。
    • 後継者がいないため

# 敵対的M&A

  • 被買収企業の合意を得ずに買収を行うことです。
  • 一般的にTOB(take over bid)によって株式を取得します。

# 友好的M&A

  • 買収企業と被買収企業で交渉し、合意の上で行うM&Aのことです。

# コングロマリット

  • 合併や買収によって事業範囲が広域な多角化を果たした企業のことです。

# TOB: Take Over Bid

  • 敵対的買収の一種です。
  • 複数の株主に対して株式買取りの提案を行います。
  • 会社の経営権を得ることが目的です。

# MBO: Management Buyout

  • 企業の経営陣が、自社の事業部門を買収して切り離すことです。

# MBI: Management Buyin

  • 社外の第三者に自社株式を買い取らせて経営を引き継いでもらう手法です。
  • 買収を行いつつ経営改善を行うことで企業価値を高めようとする目的があります。

# EBO: Employee Buyout

  • 企業の従業員が、自社の事業を買収したり経営権を得ることです。

# LBO: Leveraged Buyout

  • 被買収企業の資産を担保として資金を得て、買収を行うことです。
  • 銀行からの借入や債券で資金を得ます。

# M&A実施の課題

  • M&Aが企業にとって良い効果をもたらすように、次のような課題に対処をする必要があります。
    • 管理コストの削減: M&Aをするたびに各企業を管理するコストが増えるため適正化する
    • ベクトルの統合: 企業文化の違いによる衝突を避けて1つに融合する
    • 業績への貢献: 買収先企業の適切な評価をおろそかにしない
    • イノベーション実施: 買収によって新規事業を素早く手に入れることが内部成長の必要性を奪ってしまう。その結果、イノベーション能力が劣化してしまう。

# カンパニー制

  • 企業内の業態ごとに組織を編成し、それぞれが1つの企業であるかのような権限を持たせる組織体制です。

# 持ち株会社

  • 株式を保有することで子会社の事業活動を支配する体制です。

# ポイズンピル

  • 買収防衛策の1つです。
  • 敵対的買収が発生したときに、発行済みの新株予約権によって株式の希薄化をします。

# 経営資源

  • 企業が使用できるリソースのことです。
  • ジェイ B バーニーは、経営資源をヒト・カネ・モノ・組織の4つに分類しました。

# リソースベースドビュー(Resource based view)

  • 企業が持つ強みと弱みに着目することです。
  • VRIO分析などが該当します。

# VRIO分析

  • 4つの問いに答えることで、競争優位性のある事業であるかを判断するフレームワークです。
  • 4つの問い
    • V(Value): 価値のある事業か?
    • R(Rareness): 希少性があるか?
    • I(Imitability): 模倣が困難か?
    • O(Organization): 組織的に使いこなせるか?
  • 問いの結果からわかること
    • VがNo: 競争劣位(戦える事業ではない)
    • VがYes: 競争均衡(競合との激しい戦いになる)
    • V・RがYes: 一時的な競争優位性がある
    • V・R・IがYes: 持続的な競争優位がある
    • すべてがYes: 経営制限が最大限に活用できている

# バリューチェーン(Value Chain)

  • マイケルポーターが提唱した、製品の価値を企業活動に沿って役割で分解することで経営資源のケイパビリティを評価する考え方のことです。
  • 企業の活動は主活動と支援活動に分かれます。
  • 主活動は以下のようなものです。
    • 仕入、製造、物流、販売、サービスといった、製品製造に直接関わるものをいう
  • 支援活動は以下のようなものです。
    • 人事、開発、設計、調達など、主活動を支えるものをいう
  • 主活動と支援活動のトータルコストから、特にコストが掛かる活動を分析して識別します

# コア・コンピタンス

  • 自社が有する中核的な技術のことです。
  • プラハラードとハメルが提唱した概念です。
  • 他社がマネすることができない技術であれば、数十年にわたって利益をもたらす可能性があります。

# PPM: Product portfolio management

  • BCG(Boston consulting grouop)の開発したフレームワークで、自社製品の立ち位置を明らかにします。
  • 以下のマトリクスで表現されます。
相対的市場占有率:高 相対的市場占有率:低
市場成長率:高 花形製品: STAR 問題児: QUESTION
市場成長率:低 金のなる木: CASH COW 負け犬: DOG
  • 各分類の説明
    • 問題児: 花形商品に成長する可能性がある事業を選択して資金を投入します。
    • 花形製品: 更なる成長のため、投資を継続します。
    • 金のなる木: 成長は見込めないものの一定の収益を生み出す商品の分類です。最低限の投資でビジネスを継続します。
    • 負け犬: 撤退を検討すべき分類です。他セグメントへの影響を考慮した撤退が求められます。
  • 金のなる木で得た資金を、問題児や花形製品に投入して事業を成長させます。

# 市場占有率

  • ある商品の市場において、1つの企業がどの程度の割合を供給しているかを表す指標です。

# 相対的市場占有率

  • 業界最大の競合と比べて自社が占有している割合を示す指標です。
  • PPMで使用されます。

# 製品ライフサイクル(PLC: Product Life Cycle)

  • 製品が市場に投入されてから消え去るまでの売り上げの推移によって、次の4つライフサイクルを辿ると考えられています。
    • 導入期
    • 成長期
    • 成熟期
    • 衰退期

# 経験曲線

  • 累計の生産量が増えるほど、生産経験が積み重なり、生産コストが減っていく様子を様子を現す曲線です。
  • 縦軸に単位当たりコスト、横軸に累積生産量を取リマス。
  • 最初は一気にコスト低減するものの、後半は横ばいになる
  • 緩やかな右肩下がりの形状になりになり、ひらがなの「し」の形になります。

# 5Force: Five Force

  • 企業を取り巻く関係者からの圧力を表現する分析方法でs。
  • マイケルポーターは、企業を取り巻く環境に次の5つの力があると提唱しています。
    • 新規参入の脅威
    • 売り手の交渉力
    • 買い手の交渉力
    • 代替品の圧力
    • 同業他社との競争
  • 次のような環境にある場合、競争は激化します。
    • 競合企業が無数にある場合
    • 規模やチカラが均衡している場合
    • 業界の成長率が低い場合
    • 製造の固定費が高い場合(値下げが発生)
    • 生産能力増大が大規模な選択肢しかない場合
    • 撤退障壁が高い場合

# 競争優位の戦略

  • マイケルポーターは、競争優位の戦略を4章限に分類しました。
低コストを目指す 差別化を目指す
広いターゲット コスト・リーダーシップ戦略 差別化戦略
狭いターゲット コスト集中戦略 差別化集中戦略
  • コスト・リーダーシップ戦略: 規模の経済性や、経験曲線を活かして低価格製品を大量生産する戦略で、市場のリーダーのみが使える戦略です。
  • 差別化戦略: リーダーとの競争を避け、自社の強みを生かして参入障壁を作る戦略です。資源の限られる中小企業がとるべき戦略です。
  • コスト集中戦略: 規模の経済やコア技術の開発などに注力して、もっとも優位なポジションを築く戦略です。
  • 差別化集中戦略: 差別化戦略とコストの両面の考え方を採用した指標です。

# 競争回避の戦略

  • 競争に勝つことより、戦いを避けることが重要です。
  • マイケルポーターは、競合他社との戦いを避けるために3つの防衛戦略をあげています。
  • 構造的な障壁を高める
    • 提携やM&Aにより、鍵となる資源を保有する企業を囲い込む
  • 報復の見込みを高める
    • 撤退の障壁を高くする
    • 参入してきた企業の販売戦略を模倣する
    • 他の企業と防衛的な提携関係を築く
  • 参入の魅力を減らす
    • 生産工程のブラックボックス化により同業の参入を防ぐ
    • 特許取得などにより模倣できなくする
    • 高額な生産設備が必要な事業を営む

# 撤退障壁

  • 低い収益でありながらその業界に留まらなくてはならない理由のことです。
  • 例えば次のようなものが挙げられます。
    • 転用の効かない固定資産がある場合
    • 撤退にコストが掛かる場合(労働契約の変更や、人員の再配置など)
    • 撤退すると他の事業に影響が出る場合
    • 経営者がその事業に感情移入している場合
    • 政府や社会が障壁となる場合(その地域における失業や経済影響が大きい場合、政府や地域から圧力が掛かる)

# タイムベース競争

  • 時間をベースに競争に勝つための戦略です。
  • 具体的には「早さ」と「速さ」が論点になります。

# 速さのマネジメント

  • 製品を早提供しするためのリードタイムを短縮ことです。

# 早さのマネジメント

  • 他社より先行して生産・販売を行うことで利益やシェアを得ます。
  • 先発優位性とも言います。

# 報復戦略

  • 競合企業が自社の得意分野を攻めてきた時、相手の得意分野を攻め返す戦略です。
  • 報復の戦略は、相手が自分の得意分野に集中するようにコントロールします。

# デファクトスタンダード

  • 事実上の標準のことです。
  • 機関や規格によって定められたものではないが、市場の需要によって標準とみなされる製品のことを指します。

# ドミナントデザイン

  • 市場の支配を勝ち取ったデザインです。
  • 例えば、スマートフォンは以下のような特徴があります。
    • 手のひらサイズで全面がタッチパネル
    • 縦長長方形
    • 裏面にカメラ、上部にインカメラ

# デジュール・スタンダード

公的機関や標準化機構で定められた製品形状のことです。

  • De jureはフランス語で「法律上の」という意味があります。

# 競争戦略のポジショニング

  • コロラーは、経営資源の質/量によって各企業のポジションに分類すると提唱しました。
資源の量が多い 資源の量が少ない
資源の質が高い リーダー ニッチャー
資源の質が低い チャレンジャー フォロワー
  • リーダーは次のような戦略を展開します。
    • 全方位にオーソドックスな製品を展開
    • 市場そのものを拡大する戦略
    • 非価格対応: 価格競争に応じないこと
  • チャレンジャーは次のような戦略を展開します。
    • リーダーとの差別化
    • 非オーソドックスな製品の展開
    • 挑戦
  • フォロワーは次のような戦略を展開します。
    • リーダーやチャレンジャーの模倣
  • ニッチャーは次のような戦略を展開します。
    • 製品や市場の絞り込み
    • ニッチな需要に応える製品の提供
    • 小規模な特定市場でのミニリーダー戦略

# リーダー企業の定石

  • リーダー企業はその規模を活かして次のような戦略を取ります。
    • 需要拡大: 市場そのものを広げる戦略です。
    • 同質化: 規模の経済性を活かして同じ製品の製造を行う戦略
    • 非価格: 安売り戦争に乗らない(一番ダメージを受けるのは自分だから)
    • 最適シェア維持: シェアを取りすぎるとコストが上昇するので適度に行う。

# 技術経営

# インテグラル型

  • 部品を相互に調整して、システム全体としての性能を優先する製品です。
  • すり合わせ型とも呼ばれ、日本が得意としています。
  • 例えば、車、バイク、精密機械など

# モジュラー型

  • 個別最適に作られた部品を組み合わせる製品です。
  • 組み合わせ型とも呼ばれ、イノベーションに向いている
  • 例えば、自転車、パソコンなど
インテグラル型 モジュラー型
優先事項 システム全体の性能 既存部品の活用
構成要素の関係 複雑に絡み合う 独立性が高い
インターフェース 依存性が高い ルール化されている
性能設計 全体最適を目指す 部品ごとに個別最適
設計の自由度 低い 高い
製品の複雑さ 複雑 (比較的)シンプル
開発コスト 調整コストが高い 低コスト

# フォードシステム

  • フォード自動車で行われた工場の経営管理方式のことです。
  • 以下の条件を設定して、生産作業の効率化を図り、大量生産を実現しました。
    • 作業条件の標準化
    • 車両デザインの限定: モデルをT型飲み、黒のみにした
    • 需要の価格弾力性がある市場: 当時の自動車は庶民には手が届かないものだったが、大量生産で安価に販売し、需要を発掘
    • 労働者の専門化: 単脳工にして専門化
    • 生産同期
  • 次のような名言があります。

    People can have the Model T in any color - so long as it's black.
    T型フォードを買う人はどの色でも好きに選べるーーそれが黒色である限りは
    名言・格言『ヘンリー・フォードさんの気になる言葉+英語』 (opens new window) / iso.labo

# 部品の外部調達

# 貸与図方式

  • 設計図を委託先に渡して、製造を依頼する方式です。
  • 委託元が設計・開発を行い、設計図の内容を固めた後、製造を委託します。

# 承認図方式

  • 委託元が要件を伝え、委託先が設計書を作成し、委託元が承認する方式です。

# セル生産

  • 組み立て工程を完成まで受け持つ数人のチームの生産方式です。
  • 多能工が前提で、U字等のワークスペース等で複数の作業を実施します。

# 研究開発

# 基礎研究

  • 特別な用途を定めずに仮説や理論を研究する工程のことです。
  • 実験的な研究のことを指します。

# 応用研究

  • 基礎研究で見つけた理論をもとに、実用化の可能性を模索する工程です。

# 開発研究

  • 基礎研究/応用研究で得た知識を利用する工程です。
  • 新しい素材、製品、装置などを作り出すことを目的とします。

# 研究開発の障壁

ハーバード大学のブランスコムが提唱する概念である。

# デビルリバー(魔の川)

  • 基礎研究において資金繰りなどの障壁に遭うことです。

# デスバレー(死の谷)

  • 研究開発した技術が製品化できずに埋もれてしまう現象のことです。
  • 死の谷を越えるには、産学官連携、休眠技術の活用などが必要です。

# ダーウィンの海

  • 製品が市場に受け入れられるための障壁のことです。
  • 市場顧客とのコミュニケーションや、継続的な製品改善が必要です。

# コモディティ化

  • 参入企業が増えて商品の差別化が困難になっている状況のことです。
  • 利益を出せないほどに価格低下をして硬直状態になってしまいます。

# グローバルシナジー

  • 地理的に離れた複数拠点で生み出された資源を共通利用することで、グローバルでの競争優位性を獲得します。

# コモディティ化

  • 参加企業が増加して商品の差別化が困難になっていることです。
  • 競争が激化し、各企業は利益が上げられないほどに価格低下が発生します。

# ステージゲート管理

  • プロジェクトの段階ごとに承認ポイントを設ける管理方法です。
  • 承認ゲートがあり、全てを通ることで承認を得られるイメージです。

# イノベーション

  • シュンペーターは、イノベーションを次のように定義しました。
    • 新製品の開発
    • 新しい生産方法の開発
    • 新しい市場の開拓
    • 新しい資源の獲得
    • 新しい産業組織の採択
  • これらは一般的に、製品のイノベーションとプロセスのイノベーションに分類されます。

# テクノロジープッシュ型イノベーション

  • 技術力を無事に高性能製品を出すイノベーションです。
  • 顧客のニーズと乖離してオーバースペックな製品を作ってしまう現象で、業界トップの企業が陥りやすいです。

# リバースイノベーション

  • 途上国向けに開発した商品が逆輸入される現象です。

# オープンイノベーション

  • 企業内部と企業外のアイデアを結合して新しい価値を創造することです。
  • 次のようなメリットがあります。
    • 組織が活性化する
    • 開発コストが低減される
    • 開発スピードがアップする

# インクリメンタルイノベーション

  • 技術的な進歩が続くことで生まれるイノベーションです。

# ラディカルイノベーション

  • 技術進歩が続いていない突発的(急進的)なイノベーションです。

# イノベーションジレンマ

  • 旧製品で利益が出ているため、新製品への投資に躊躇している状態です。

# リードユーザ

  • 先端的な提案型ユーザーのことです。
  • リードユーザの意見はイノベーションの源泉となります。
    • ただし一般ユーザの意見だと、取り入れても既存製品の改善に留まってしまいます。

# アブソープティブキャパシティ

  • 外部から得られた情報を活用できる度合いです。
  • Absorptive capacity は吸収能力と言います。

# NIH(Not Invented Here)

  • 安定したプロジェクトに属していると、外部からの意見はパフォーマンスを落とすと考えて、受け入れなくなってしまう現象です。

# OEM(Original Equipment Manufacturing)

  • 依頼元ブランドの製品を製造すること、あるいはその受託事業者のことを言います。

# グローバル経営

  • 新興国へ浸透を図る場合は、次のような注意事項があります。
    • 商品配送をするための道路が整備されていない
    • 商品知識に乏しい顧客が散財している
    • 文化の違いから人脈形成にコストが掛かる

# カントリーリスク

  • その国特有のリスクのことです。

# 現地人の採用

  • 現地人の採用は、雇用期限付きの労働者に限定する等、カントリーリスクに配慮する必要があります。
  • 現地人の幹部登用は、能力や適性を見定めて慎重に行う必要があります。

# グローバル経営の課題

  • 次のような課題があります。
    • 海外実務を任せられる人材の確保
    • 現地従業員の育成/定着
    • 信頼できるビジネスパートナーの確保

# グローバルマーケティング

  • 企業が国境を超えて行うマーケティングは次の5ステップがあります。
    • 国内マーケティング: 国内をターゲットとする
    • 輸出マーケティング: 国内製品を輸出する
    • 国際マーケティング: 製品やプロモーションを現地に合わせる
    • 多国籍マーケティング: 開発/生産/マーケティングを地域ごとに行う
    • グローバルマーケティング: マーケティングミックスの標準化により、グローバル顧客を生み出す

# 社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibility)

  • 社会から求められる責任を明確にして、非経済活動を行うことです。
  • ISO26000シリーズがCSRの国際規格に相当します。

# NPO: Non Profit Organization

  • 非営利目的の団体のことです。
  • 社会的責任を果たすことを主目的とした組織ですが、稼いではいけない訳ではありません。

# フィランソロピー

  • 慈善活動のことです。
  • 慈善のために金銭、物品、時間、労力を捧げる活動です。

# 1%クラブ

  • ワンパーセントクラブは、経済団体連合会(経団連)が定める社会貢献活動です。
  • 経団連の会員企業に対し、経常利益の1%をNPOに寄付することを求めています。

# CSV: Creating Shared Value

  • 事業を通じて社会的な課題を解決する考え方です。
  • 社会価値と企業価値の両立を目指します。

# 産業集積

  • 工業や商店街など、類似する事業を担う企業が同じ地域に集まった状態のことです。

# 産業クラスター

  • 異業種の企業が連携して生まれた新たな産業集積のことです。

# 経済

# 市場の失敗

  • 市場に参加する企業が、各々に利潤や効用をの最大化しようとした結果、市場そのものが成り立たなくなってしまう状況のことです。

# 外部不経済

  • 公害などにより、取引当事者以外の第三者に損害を与えることです。
  • 例えば、工場排水による水質汚染、工場ガスによる空気汚染等が考えられます。

# ピグー税

  • 外部不経済を起こしている企業に対する罰金のことです。
  • 罰金を課すことで、外部不経済の発生を抑制します。

# 規模の経済

  • 生産量が多い方が、間費費の分散などにより単位当たりの生産コストを低減できるという考え方です。
  • 規模の経済においては次のような課題があります。
    • 組織規模が大きすぎると調整費用がかさむので、階層構造・規則で調整費用を減らす必要がある。
    • 規模の拡大に伴い人も増え、セクショナリズムにより機械的なコミュニケーションになるため、意思疎通を図る手段を用意する。
    • 規模が大きいほど効果が高いので、生産設備の増強を継続する。ただし、効率は無制限に高まるわけではないので、最適能力を超えない程度にする
    • 新技術と旧技術が混じると効率が低下することがある。なるべく同じ技術を利用する

# 範囲の経済

  • 複数事業を営む企業が得られるコスト低減効果のことです。
  • さまざまな事業で個別最適をするより、全体最適を図った方が経済的(効率的)な経営ができるようになります。

# ハーフィンダール指数(HHI)

  • 市場に参加している各企業のシェアを2乗して合計することで算出される指標です。
  • 算出された結果は以下のように判断します。
    • HHIが大きいほど、特定企業にシェアが偏っている
    • HHIが小さいほど、シェアがバラついており競争が激しい

# 先発企業の優位性

  • 新興企業に先に参入した企業は、後から参入する企業よりも有利なポジションを確立します。
  • 理由としては以下のようなものがあります。
    • 早期に経験曲線効果を得ることができること
    • 希少資源を利用できること

# 経験曲線

  • 累積生産量が増えるたび、経験が重なることによって、生産コストが低減していく現象をグラフにしたものです。
  • 生産量の累積で効果が現れるので、先発企業が有利になります。

# 希少資源の利用

  • まだ知られていない成功要因の資源を知られる前に入手し、独占することで、発企業の模倣を防ぐことができます。

# 経営その他

# 三方よし

  • 「売り手よし、買い手より、世間よし」を意味する近江商人の重視する考え方です。

# Jカーブ曲線

  • 企業のライフサイクルにおけるキャッシュフローの量をグラフで表したものです。
  • スタートアップ系の企業は、次のようなキャッシュフローをすることが多いです。
    • 事業立ち上げ当初はキャッシュフローがマイナスとなる
    • 成果が出てくるとキャッシュフローがプラスに転じる

# Mカーブ

  • 縦軸に就労率、横軸に年齢をとり、女性の年齢別就労状況を表現したものです。
  • グラフの形が英字の「M」に似ていることから Mカーブと呼ばれます。
    • 20代後半〜40代後半にかけて、子育てのために職場を離れる人が多いため、このような形状になリマス

# Smileカーブ

  • 縦軸に付加価値、横軸にサプライチェーンで関わる事業をおき、どこで付加価値が生まれているかを表現したものです。
  • グラフの形が英字の「U」に似ており、笑った口のような形状になることからSmileカーブと呼ばれます。
  • 生産などの上流工程と、販売の下流工程に付加価値が多く、中間工程は付加価値が乗りにくい特徴があります。

# ベンチャー企業

  • 新規事業を開拓し、イノベーションを生み出す、設立年数の若い企業のことです。

# ベンチャーキャピタル

  • ベンチャー企業を資金で支援する機関です。
  • 企業価値を高め、株式公開やM&Aによって投資資金を回収することが一般的です。

# 組織

# 公式組織

  • チェスター・バーナードは組織のことを「二人以上の意識的に調整された諸活動の体系」と定義しています。
  • この定義は公式組織のことを指しています。一般的に組織論として扱われる内容は公式組織のことです。
  • 公式組織を構成する条件は次の3つです。
    • 貢献意欲: 構成員による貢献意欲があること
    • 共通目的: 協働により達成する目的があること
    • 意思伝達: 参加者同士の意思伝達があること

# 非公式組織

  • 無意識的に調整される諸活動の体系のことです。

# 組織階層

# トップ・マネジメント

  • 経営階層(社長、専務クラス)を指します。
  • 次のような役割を担います。
    • 経営計画の策定
    • 重要人事の発令
    • 戦略的意思決定

# ミドル・マネジメント

  • 管理階層(管理職クラス)を指します。
  • 次のような役割を担います。
    • 経営資源の配分
    • 事業戦略の立案
    • 管理的意思決定

# ロワー・マネジメント

  • 監督階層(係長、主任クラス)を指します。
  • 次の役割を担います。
    • 部下の指導
    • 人間関係の調整
    • 業務的意思決定

# 意思決定

  • ハーバート・サイモンは意思決定のことを「行動する前に実施される行動の選択」と定義しています。

# 意思決定のプロセス

  • 意思決定は次のプロセスで行います。
    • 情報収集
    • 代替の列挙
    • 代替案の推定評価
    • 代替案の選択
    • 行動

# バイアス

  • 経験則に基づいて意思決定を行い、合理性を逸脱する恐れがあります。

# 認知バイアス(アンコンシャス・バイアス)

  • 思い込みのことです。
  • 人は意思決定の大部分を経験、直感、経験則に依存しているので、意思決定に思い込みが混ざる恐れがあります。

# 確証バイアス

  • 自分にとって都合の良い情報をだけ採用してしまうバイアスです。
  • 自分にとってネガティブな情報を軽視してしまう等、情報を正しく見えなくなってしまいます。

# 正常性バイアス

  • 自分によって都合の悪い情報を無視してしまうバイアスです。
  • 危険度などを正確に測ることができず、まだ大丈夫だと思い込んでしまい、行動がエスカレートします。

# ハロー効果

  • 評価をするときに、目立つ特徴に引きずられて、他の評価要素を歪めてしまう現象です。
  • 評価はプラス/マイナスいずれにも歪み、それぞれ以下の名称があります。
    • ポジティブハロー効果: 特徴につられて全体の評価が上がること
    • ネガティブハロー効果: 特徴につられて全体の評価が下がること

# 後知恵バイアス

  • 結果が出てから、予測通りだと錯覚するバイアスのことです。
  • 例えば、事後になってから「そうなると思ってたよ。」といった発言が該当します。

# 代表性バイアス

  • ある事態の予測において、以前の類型に合わせようとすることを言います。

# 入手容易性バイアス

  • 身近に手に入られる情報を優先してしまうバイアスのことです。

# 組織均衡

  • 参加者が組織に参加する理由は、参加者を引き寄せる誘因があるからです。
  • 誘因効果 ≧ 貢献効果 の時に組織へ参加します。誘因と貢献が等しい時も参加します。
  • 組織には下記のステークホルダーが参加します。
    • 投資家、銀行: 企業に出資し、対価として配当を得る
    • 供給業者: 原材料や設備を提供し、対価にキャッシュを得る
    • 従業員: 労働力を提供し、対価に賃金を得る
    • 顧客: キャッシュを提供し、製品やサービスを得る

# 組織の意思決定

# 取引コストアプローチ

  • 企業同士の関係は取引コストで決まるという考え方です。
  • 取引コストは、取引にかかるコストと履行させるためのコストの合計で測ります。

# 環境の不確実性

  • 環境は不確実なものなので、組織はさまざまな特性を持つようになります。
  • 不確実であるほど、合理的な意思決定が難しくなるためです。
  • 不確実さは、環境の複雑さと環境変化の度合いで測ります。

# サウスエセックス研究

  • ウッドワードが打ち立てた「技術が組織構造を決定する」という命題です。

# 機械的管理システム

  • 手続、責任、役割が明確な組織では、意思決定はトップマネジメントで行われるという考え方です。
  • 不確実性の少ない環境で選択される管理システムです。

### 有機的管理システム

  • 規則や手続がない(あるいは、あっても無視される)という考え方です。
  • より問題に近いレイヤーに意思決定を委譲します。
  • 不確実性の多い環境で選択される管理システムです。

# 組織の分化

  • 部署間で考え方の差異が生まれることです。
  • 不確実性が高いほど、組織は分化が進みます。
  • 分化が進むほど組織間の調整は困難になります。

# 組織の統合

  • 分化した組織間でのコミュニケーションを円滑にするための調整を行うことです。
  • 統合には次のような方法があります。
    • 公式の統合担当者を置く方法
    • マトリクス組織として部署を横断的に貫く組織構造を用意する方法
    • 余力(スラック資源)を活用する方法

# 組織スラック

  • 余力のことです。余力人材や在庫のことを指します。
  • 組織の余力はイノベーションの原資になります。
  • 緊急時の余力として組織を安定させる効果も期待できます。

# 組織運営

# コーポレートガバナンス

  • 内部統制や監査を通じて、倫理や行動規範によってチェック機能を果たすことです。
  • 企業の不祥事を防ぎ、収益率を強化する目的で行われます。

# 社内ベンチャー

  • 社内の人間で組織される擬似的なベンチャーのことです。
  • トップダウンではなく自律的な組織のため、新たな発想を生み出すことができます。

# プロジェクトチーム

  • 専門技術を持つメンバーを集めて作るチームのことです。

# 組織間の関係

# アライアンス

  • 複数の企業が経営資源を共有し、協力することです。
  • アライアンスの目的は次のようなものがあります。
    • 生産能力、販売能力といった経営資源を有効活用するため
    • 不足している能力を補うため
    • 新しい能力を開発するため
    • 投資リスクを減らすため

# コンソーシアム

  • オープンで緩やかな提携関係です。
  • 同じ領域に興味を持つ個人や企業によって構成されるグループです。

# 下請け

  • 請け負った仕事をさらに別の企業が請け負う形態のことです。
  • 主に大企業が中小企業に委託するような関係を指します。
  • 元請けである大企業にとっては、低賃金(低コスト)で安定供給を実現できるメリットがあります。
  • 下請けである中小企業にとっては、安定受注を得られる他、技術や資金の支援を得られるメリットがあります。

# ジョイントベンチャー

  • 複数の企業が資本を持ち寄って設立する会社のことです。
  • 各企業が持つノウハウ、生産能力、ブランド等を活用できるメリットがあります。

# ライセンサー

  • 特許や商標を使用させる代わりに金銭を得る契約形態のことです。

# ライセンシー

  • ライセンサーから産業財産権の利用を認められた企業のことです。
  • 自社で開発を行うことなくビジネスを始められる一方、ライセンサーからの制約により自由度が制限される特徴があります。

# アウトソーシング

  • 業務を外部に委託することを言います。
  • アウトソーシングの活用は以下のようなメリットがあります。
    • 自社で行う場合と比べて運営コストを削減できること
    • 外部が持つ専門技術/専門知識を活用できること
    • 余力が生まれることにより、社員がコア業務に注力できること

# 組織の生態モデル

# 自然淘汰モデル

  • 同じ特性も持つ企業群について、外部環境が与える影響を分析したモデルです。
  • 各企業の変化は、以下3ステップの変化を通じて説明されます。
    • 変異: 環境変化を受けて各組織が変異を始める
    • 淘汰・選択: ニッチ需要を見つけた組織が生き残る
    • 保持: 環境に適合できた企業が成長する

# 組織慣性

  • 組織が変化しようする時、いくつかの制約によって抵抗が起きます。
  • 内部の制約として以下のようなものがあります。
    • 埋没コスト: すでに投資ずみのコストをもったいないと思うこと
    • 政治的統制: 変革後のリソース再分配にあたり、今パワーを持っている人たちによる反発のこと
    • 変化への抵抗: 伝統を守ろうとする考え方が変化の障壁になること
  • 外部の制約として以下のようなものがあります
    • 撤退コスト: 現在の事業が撤退にかかるコストが高い場合、現状にとどまろうとすること
    • 参入障壁: 新しい事業の参入障壁が高い場合、現状にとどまろうとする
    • 正当性の説明要求: 新しい事業によってステークホルダーが利益を確保できるか説明を求めること

# 組織エコロジー理論

  • 組織が環境変化に適合して生き残ったのではなく、生き残れたことは結果論に過ぎないという考え方です。

# 組織デザイン

# 組織階層

  • 組織の上から下までに存在する階層構造のことです。
  • 階層が深い場合、次のような影響があります。
    • トップの権威が強くなる
    • トップの意志が末端に届くまで時間がかかる
  • 階層が浅い場合、次のような影響があります。
    • トップの権威が弱くなる
    • トップの意志が末端に届きやすくなる

# 分業化

  • 組織は複数のタスクをこなさなくてはならず、その際の役割分担のことです。
  • 業務を分担することによって、専門的な人材を育てたり、無駄のない事業運営を実現します。
  • 分業化を進めるために次のような配慮が必要です。
    • 互いのタスクが重複しないようにする
    • 無駄を排除する

# スパン・オブ・コントロール

  • 一人の管理者が何人を管理できるかの範囲のことです。
  • 業務の複雑さによって管理の適正人数は変化します。
    • 複雑なタスク: 管理が難しいので人数を減らして少数精鋭で対応する
    • 単純タスク: 大きな人数でも管理できる
  • その他、管理の幅に影響を与える要素は次のようなものがあります。
    • マニュアル、規則の完成度
    • 教育訓練の度合い
    • 目標や評価基準の適正度
    • 分業の度合い
    • 管理者の知識や熟練水準
    • メンバーの知識や熟練水準
    • 業務の複雑さ、変動性

# 官僚主義によるコントロール

  • 官僚的な仕組みで従業員の行動をコントロールする文化のことです。
  • 規則、基準、業務手続、予算などによって業務を標準化します。

# クランコントロール

  • 家族、仲間意識の強い親密性を重んじる文化のことです。
  • 従業員自身に目標等を設定してもらい、自律的なコントロールを計ります。
  • 不確実性が高く変化が速い環境で重要になります。

# 起業家的コントロール(アドホック)

  • 変化、創造を追及するイノベーション文化のことです。

# ジョブデザイン

# 職務拡大

  • アージリスが提唱した考え方で、仕事の量や幅を増やすことです。
  • 仕事の幅が広がるので、職務の水平的拡大とも言います。
  • 多能工を推進する根拠になリます。

# 職務充実

  • ハーズバーグが提唱した考え方で、権限移譲などにより職務のやり方を変えることです。
  • 職務の垂直的拡大とも言います。
  • MBO(目標管理制度)の根拠になります。

# 組織デザイン

# 機能別組織

  • 機能ごとに部署などを分けた組織形態のことです。
    • 機能とは、製造、購買、営業、研究開発、財務、人事等のことです。
  • 機能別組織のメリットは次のようなものがあります。
    • 職務を専門化させ、効率を高めることができる
    • 業務が細分化されており、従業員が当該業務の専門家として育つ
  • 機能別組織のデメリットは次のようなものがあります。
    • 部署が分かれ全体を見渡せないため、トップマネジメントが育ちにくい
    • 全体を見渡すことができるトップマネジメントに権限が集中する
    • 部署間の連携が取りにくくなる
    • コンフリクト(部門間の対立)が起きやすくなる

# 事業部制

  • 多角化により事業内容が複数になった企業が選択する組織形態です。
  • 事業ごとに同じ機能を重複して保有します。(下記のように)
    • A事業部: 製造部、財務部、人事部
    • B事業部: 製造部、財務部、人事部
  • 事業部制の編成
    • 製品別の事業部
    • 地域別の事業部
    • 取引先別の事業部
  • 事業部制のメリットは以下のようなものがあります。
    • 利益責任が明確になること
    • 大幅な権限委譲により次期経営者が育ちやすい
  • 事業部制のデメリットは以下のようなものがあります。
    • 必要な資源を各事業部が持つので、重複投資になる
    • 事業部を超えた人事異動が難しくなる
    • 事業部間のコンフリクトが生じる

# マトリクス組織

  • 網の目構造の組織形態です。
  • 機能別組織(垂直方向)にプロジェクトチーム(水平方向を掛け合わせる等)で構成します。
  • プロジェクトチームは、社内改革チームや交流活性化チーム等の部門横断的な職務を担います。
  • マトリクス組織のメリットは次のようなものがあります。
    • 組織間での情報が共有され、情報の処理能力が高くなる
  • マトリクス組織のデメリットは次のようなものがあります。
    • 垂直方向と水平方向で管理職がいるため、管理職間で考え方が違う時にコンフリクトが発生する
    • 指揮命令系統が複数になるため従業員の負荷が高まる

# 官僚的組織

  • 最高責任者を頂点としたピラミッド型の上位下達な組織構造です。
  • 規則、手続、役割を公的に定める決めるよって、従業員の標準的な働き方を決めます。

# 官僚制の逆機能

  • 規則遵守が生き過ぎてしまい、規則に記載されていない対応は一切しなくなる等の弊害が起きることです。
  • 自部署の利益を優先したりする行動も含まれます。

# パーキンソンの法則

  • 負荷分散をすることで部下が増えて組織が肥大化してしまう現象のことです。
  • 同僚と仕事を分担するより、新しい部下2名に全部依頼して自分が管理に回る方が良い、と考えてしまいます。

# 環境適応類型

  • マイルズとスノーが提唱した組織の意思決定サイクルです。
  • 次の3つのフェーズを繰り返すことで組織の問対に対処するという考えです。
    • 製品市場の選択
    • 生産と流通のための技術選択
    • 組織構造の最適化
  • これらの選択は組織ごとに異なるアプローチをします。組織の種類は次の4種類です。
    • 防衛型: 自社の強みを活かして防衛しようとする
    • 探索型: 積極的な行動で機会を探す
    • 分析型: 防衛と探索との中間的な行動をする
    • 受動型: 圧力を受けるまで変わろうとしない

# サーバントリーダーシップ

  • 逆ピラミッド型の組織形態です。
  • リーダーが部下に権限委譲をして、部下を育てる文化を醸成します。
  • 協調性などを大事にします。

# 組織文化

  • 組織を構成する人の間で共有される価値観や信念のことです。

# クラン文化

  • コラボレーションを大事にして、家族のような雰囲気を醸成する文化です。
  • 協力、協調性を大事にします。
  • チームの結束力が高まる一方、権力を行使したり不人気な意思決定が難しく、リーダーシップの発揮が難しいでメリットもあります。

# アドホクラシー文化

  • 失敗から学ぶ姿勢を持った起業家精神に溢れる文化です。
  • クリエイティブな発想を歓迎する一方、メンバー間の競争が激化しやすい特徴があります。

# ハイアラーキー文化

  • 役割や責任を明確にして、方針や計画を重要視する文化です。
  • ハイアラーキーはヒエラルキーと同義です。

# マーケット文化

  • 納期、目標、結果を重視する文化です。
  • 顧客志向で利益を最大化するために常に成長が求められます。

# 組織文化の醸成

  • 組織文化を醸成するために次のような仕組みがあります。
    • セレモニーの実施: 入社式、年初挨拶などで組織の価値を示す
    • シンボルの提示: コーポレートカラーの決定、制服、バッジ等で価値観を示す
    • 言葉: 組織メンバーだけが使う社内用語などで文化が現れる
    • 物語や伝統: 創業エピソードなどで組織の価値を示す

# グループダイナミクス

  • 集団とメンバーの依存関係に関する理論のことです。
  • 基準や規範を用意して、従わないメンバーに対する相応の制裁を用意します。

# 斉一性の圧力

  • 時間の経過とともに組織内のルール(ソーシャルリアリティ)が創造され、同調を求めるようになる現象のことです。
  • 斉一性(せいいつせい)と読みます。

# 集団凝集性

  • 集団に留まらせるための動機付けのことです。
  • 凝集性が高いほどチームへの愛着が見られ、生産性や貢献性が高くなります。

# 集団浅慮(グループシンク)

  • 集団による意思決定は適切でない結果に至る現象です。
  • 意見を統一することに注力してしまい、少数派の意見や不人気の意見が無視されてしまいます。
  • 集団凝集性の高い組織や、協調性を大事にする組織が特に陥りやすいです。

# 集団傾向(グループシフト)

  • 集団で意思決定をすると各人が責任を負わない結論が優先される現象です。
  • 声の大きい人の意見を採用したり、多数決などによる意思決定が行われます。
  • このような意思決定では、慎重さを欠いた結論になり、個人では選ばないようなリスキーな選択をしてしまいます。
    • そのため、この現象をリスキーシフトとも呼びます。

# パーソナリティ

  • 個人の考えと行動を特徴付ける傾向のことです。
  • 人それぞれの特徴に着目した考え方です。

# ビッグ・ファイブ

  • パーソナリティは5つの基本要素があります。
    • 外向性: 社交的、独断的
    • 協調性: 協力的、人思い
    • 誠実性: 責任感がある、完璧主義
    • 神経症傾向: 感情の安定度合い
    • 開放性: 想像力、芸術性がある

# モラール

  • 従業員の勤労意識のことです。士気と表現され、モチベーションと同等の意味合いです。

# 5段階欲求説

  • マズローの提唱するパーソナリティのモデルです。
  • 人の欲求には、成長したいという欲求(成長動機)、足りないものを充足させる欲求(欠乏動機)があります。
  • ある欠乏動機が満たされた場合、次に高い次元の欲求が行動を起こさせます。
  • 自己実現のためには、5つの段階(4段階の欠乏動機と、5段階目の成長動機)があるという考え方をしました。
  • 4段階の欠乏動機(下に行くほど高次元の欲求)
    • 生理的な欲求
    • 安全欲求
    • 社会的欲求
    • 自尊の欲求
  • 成長動機
    • 自己実現の欲求

# ERGモデル

  • アルダファーの提唱するパーソナリティのモデルです。
  • 3次元的な欲求が並行して現れるものと考えました。
    • E(existance) 存在欲求
    • R(relatedness) 人的な関係欲求
    • G(growth)成長の欲求

# 達成動機説

  • マクレランドが提唱するパーソナリティのモデルです。
  • モチベーションにつながる欲求は3つの要素から構成されると提唱しました。
    • 達成欲求
    • 権力欲求
    • 親和欲求
  • 職務の困難さが中程度の場合に最も動機づけられ、成果も最高の状態になります。

# 2要因モデル

  • ハーズバーグが提唱するパーソナリティのモデルです。
  • 要求は低次欲求と高次欲求に区分されます。
  • 低次欲求: 衛生要因(給与、作業条件、経営方針、人間関係)等を指します。
  • 高次欲求: 自ら仕事を達成したり、自分が認められる等の内発的な要因を指します。

# X理論、Y理論

  • マグレガーが提唱するパーソナリティのモデルです。
  • 人間観をXとYに分類しました。
    • X理論: 伝統的な人間観のことです。人間は本来、仕事が嫌いである前提で、命令と統制で管理する必要があると考えられています。
  • Y理論: 挑戦的な人間観のことです。人間は条件次第で、進んで仕事に取り組むと考えられています。

# MBO(Management By Objectives)

  • 目標管理のことです。
  • 従業員の自己実現を尊重する管理方法ですが、数値目標で合意します。
    • とにかく定量化すれば良いわけではありません
    • 組織の目標と個人の目標がずれないように木を配る必要があります。
    • 短期の目標を優先してしまう特徴があります。
    • 人事評価につながるため、目標達成を優先してハードルの低い目標を立ててしまう弊害があります。

# モチベーション

# 公平説

  • 個人の努力に公平な評価がされて、モチベーションが得られるという考え方です。
  • 高い評価(あるいは報酬が多い)場合、報酬に見合うよう生産性を高めようとする力が働きます。
  • 低い評価の場合、低品質なアウトプットをしてしまう心理状態になる恐れがあります。

# 強化説

  • モチベーションは適切な報酬によって強化されるという考え方です。
  • 十分な報酬が得られなかったり、罰せられたりすると、動機づけが消えてしまうと考えられています。

# 期待説

  • ブルームが公式化したモチベーションの関数です。
  • 次の計算式でモチベーションを測ります。
    • 努力で相応の成果を得られる期待 × 成果の価値
  • 掛け算なのは、いずれか一方がゼロだとモチベーションがなくなることを意味しています。

# 職務特性理論

  • 仕事自体の特性がモチベーションに与える影響を示すという考え方です。
  • 次のような特性が関係します。
    • スキル多様性: 職務で多様なスキルを活かせる度合い
    • タスク完結性: 自分のタスクが職務全体に与える影響を把握できている度合い
    • タスク重要性: 他人の仕事や生活に与える影響を把握できている度合い
    • 自律性: 職務で与えられている最良の度合い
    • フィードバック: 職務に関する情報の提供度合い

# 内発的動機付け

  • 給与などの外的な要因ではなく、自ら進んで働きたいと思う意欲を醸成することです。

# デシの法則

  • デジのモチベーションに関する理論です。
  • 自らの有能さを誇示でき、自己決定できる環境が内発的な動機付け要因になると考えた。

# 心理的契約

  • 心理的な理由により、書面などで交わした訳でもない業務に取り組むことです。

# フリンジ・ベネフィット

  • 外発的動機付けの1つです。
  • 外部から与えられる賃金、給与、人間関係、福利厚生等の要因のことです。

# ホーソン効果

  • 注目を受けたり、特別扱いされることでモチベーションが高まる効果のことです。

# リーダーシップ

  • 目標を設定し、達成するために組織化し、一定水準に維持する組織機能のことです。

# リーダーシップ・スタイル

  • レヴィンはリーダーシップのスタイルを3つに分類し、民主的リーダーが最も優れていると結論づけました。
  • 独裁的リーダー: メンバー同士で敵意が高まり、攻撃的になる。
  • 自由放任リーダー: メンバーが自分で学習や訓練を行う必要
  • 民主的リーダー
    • 最も望ましい結果が得られる

# リーダーシップ二次元論

オハイオ研究では、リーダーシップは2つの要素からなると結論づけています。

  • 構造づくり: メンバーのタスク把握、目標設定を経て仕事の道筋を示す
  • 配慮: 業務ではなく人間的な関心をもち、個人欲求の満足を図る

# マネジアルグリッド

  • 業績に値する関心と、人間に対する関心を表現したものです。
  • 最も望ましい形態は、業績/人間のいずれにも関心を持つスーパーマン型です。
  • マネジアルグリッドは次のような種類があります。
    • 社交クラブ型: 人間だけ関心が高い
    • 消極型: 業務も人間も関心が低い
    • 中間型: 真ん中
    • スーパーマン型: 業務も人間も関心が高い
    • タスク志向型: 業務の関心だけが高い

# PM理論

  • 目標管理機能(Performance)と集団維持機能(Maintenance)の頭文字でPM理論です。
  • 優れているものを大文字、そうでないものを小文字で表現します。
  • 両方の機能に優れたPM型が最も良いとしています。

# システムⅣ理論

  • リカートのリーダーシップ理論です。
  • リーダーシップのスタイルがメンバーの行動を変え、成果につながるという因果を示しました。
  • リーダーシップのスタイルは、段階的に4つ存在すると考えました。
    • システムⅠ : 懲罰の恐怖で仕事をさせるスタイル
    • システムⅡ: 温情的専制型スタイル
    • システムⅢ: 相談型スタイル
    • システムⅣ: 集団参加型スタイル
  • システムⅣ(4)が理想のリーダーシップとしています。
  • システムⅣを達成する3つの原則
    • 支持的関係の原則: リーダーが部下の個人的側面に関心をもち、良好な信頼関係を作る
    • 集団的意思決定の原則: 集団の意思決定に部下を参加させる
    • 高い業績目標の原則: 部下個人の自己実現欲求とリンクした高い業績目標を立てる

# 連結ピン

  • 階層構造の組織において、組織のリーダーが複数の集団を結ぶ役割を担うことで、コミュニケーションが円滑になるという考えです。
  • 集団をつなぐ役割のことを連結ピンと呼びます。

# コンティンジェンシー理論

  • フィードラーが提唱したリーダーシップの理論です。
  • 業績はリーダーシップのスタイルだけではなく、支配力、影響力、タスクの構造、部下の成熟度によっても左右されると考えました。

# SL理論(Situational Leadership)

  • 部下の成熟度を考慮したリーダーシップのあり方に関する考えです。
  • 次のような考え方をします。
    • 成熟度の低い部下であればやり方を教えるべき
    • 成熟度の高い部下であれば任せるべき

# 成熟、未成熟理論

  • アージリスが提唱したリーダーシップの理論です。
  • 成熟に合わせて職務を拡大すると、受動的な行動から能動的な行動に変化すると考えました。
  • そのため、組織の意思決定に部下を参加させるべきと主張しています。

# パス・ゴール理論

  • 目標の達成に至る道筋(パス)を明らかにすることが重要という考え型です。

# 権威受容説

チェスターバーナードは、権威はメンバー受け入れられて初めて有効になると主張しました。

  • 権威と感じさせないような状態が望ましいとしています。

## コンフリクト

  • コンフリクトとは、複数の集団の間に生じる対立や敵対的な関係のことです。
  • 建設的なコンフリクトであれば業績向上に貢献することもあります。

# コンフリクトの発生要因

  • コンフリクトは次のような経緯で発生します。
    • 資源の希少性: 組織が使えるリソースが不足している場合、余力がなくコンフリクトが発生しやすい
    • 自立性能確保: 他から統制を受けたくないと考えるときに、コンフリクトが発生する
    • 不合意: コンセンサスが成り立たない時にコンフリクトが発生する

# 建設的なコンフリクト

  • コンフリクトは必ずしも悪ではなく、メリットが生じることもあります。
  • コンフリクトのメリット
    • 緊張感の存在がメンバーの行動を動機付け、行動を活性化させる
    • 見解が対立することで、新たなアイデアが生まれる源泉となる
    • 他組織への攻撃行動が、組織変革の意欲になる

# コンフリクトの解消

  • コンフリクトを解消するには次のような方法が考えられます。
    • コミュニケーション機会を増やす
    • 仲介者を設置する
    • 人事交流を増やす

# コンフリクトの処理方法

  • コンフリクトが発生した場合、次のような方法で解消をすることができます。
  • 競争: 自分の利益を優先して相手を打ち負かす解決方法
  • 和解: 自らの利益を捨て、相手に譲歩する解決方法
  • 回避: 自分も相手も利益が表立たないようにする解決方法
  • 妥協: 自分が譲る代わりに相手にも譲ってもらう解決方法
  • 協力: 自分も相手も利益が大きくなるよう、新しい解決方法を探す方法

# 組織ライフサイクル

# 組織の成長発展モデル

  • 組織の誕生、成長、成熟までのライフサイクルを示すモデルです。

# 起業段階

  • 起業して間もない期間は次のような状況になります。
    • 創造性や革新性が重視される
    • 管理監督の機能が軽視される
    • (組織が大きくなると)強力なリーダーシップの必要性に直面する

# 集合化段階

  • 組織は、リーダーシップを持つことで目標に向けて次のような状況になります。
    • 明確な目標に向けた活動が行われる
    • 規模の拡大に伴い、権限移譲が必要になる

# 公式化段階

  • 集合か段階から更に規模が大きくなることで、官僚的な組織になっていきます。
    • 規則、評価、予算、財務会計制度などの規則が導入される
    • 官僚制の逆機能を排除する活動が必要になる

# 精巧化段階

  • 組織が更に大きくなると、プロジェクトチームなどによる柔軟な対応が必要になリマス。
    • 新たな資源の獲得が必要になる

# 組織衰退の対策

  • 組織はやがて衰退に向かいます。
  • 衰退を回避するために次のような方策を行います。
    • 柔構造化によって組織の若返りを促進する
    • ドメインを再定義する
    • ダウンサイジング(組織の縮小)で経営を効率化する

# ナレッジマネジメント

  • 組織内にあるナレッジを管理して、新しい価値を創造する力に変えていく手法のことです。

# SECIモデル

  • ナレッジは、以下4つの段階をサイクルするという考え方のことです。
  • セキモデルと読みます。
    • Socialization(共同化): 少人数の間で暗黙知を共有していくフェーズ。喫煙所コミュニケーションなど
    • Externalization(表出化): 暗黙知を形式知に変換するフェーズ。開発標準の検討議論など
    • Combiniation(連結化): 形式知を組み合わせて新たな形式知を得るフェーズ。イントラネットで形式知の展開など
    • Internalization(内面化): 形式知から新たな暗黙知を作るフェーズ。OJTなど

# 組織学習のサイクル

  • 個人が学習するのと同じように、組織も学習して成長します。
  • 組織の学習には2つの種類があります。
    • 問題解決: 短期的な学びのこと
    • 長期適応: 長期的な学びのこと
  • マーチとオルセンは、組織学習は以下の4つの段階をサイクルすると考えました。
    • 組織方針を受け、個人が新たな知識を得る
    • 個人が行動を変える
    • 組織の行動が変わる
    • 組織の考え方が変わる (上に戻る)

# 低次学習

  • 単なるタスクの繰り返しによる組織としての学習のことです。
  • 組織が安定状態になると、業務が分業化して低次学習の割合が増えます。

# 高次学習

  • 組織の上位レベルで起きる本質的な組織としての学習のことです。
  • 組織の規範となります。

# チェンジマネジメント

# 埋没コスト

  • 変革案を実行すると現在の設備を廃棄することになるため、既に投資済みのコストが無駄になってしまうことを指します。
  • サンクコストは、現在の戦略・設備を使用し続ける限り発生しません。そのため、現在の戦略・設備に固執する従業員が出現し、変革の障壁となります。

# 安定収益の圧力

  • 利害関係者から安定した利益を出すよう圧力がある場合、利益が失われる恐れのある変革案は採用されにくくなります。

# 有能さの罠

  • 既に利害関係者を満足させる成果が出ている場合、変革が必要だと認識され図、変革の障壁となります。

# ゆでガエル・シンドローム

  • 業績が下がった時、要求水準を下げることで適応しようとする現象のことです。
  • 変化が緩やかだと順応も滑らかで、変革が必要だと認識するタイミングを逸してしまいます。

# 抵抗の障壁

  • 変革案に対し、以下のような不安要素をもとに抵抗する勢力が現れます。
    • 変化が生み出す「未知」に対する不安
    • 培った知識が新しい環境で活かせなくなる不安
    • 現在の権限が失われる不安
  • 不安要素を取り除くため、以下のような対策が必要です。
    • 移行への関心を高める
    • 現行組織の問題点を伝える
    • 変革プロセスにメンバーを参加させる
    • 変革支持に対する報酬を用意する
    • 現状から脱却するための時間と機会を提供する
    • 新組織に向けた教育や訓練の機会を提供する

# 混乱の問題

  • 既に制度化されているものが変革によって乱されることで混乱が生じます。
  • 例えば、合併に際して日常業務が滞ることを心配して障壁になる等のケースが考えられます。
  • 混乱を避けるため、以下のような対策が必要です。
    • 望ましい組織像を提示する
    • 緊密かつ継続的な情報連携を行う
    • 問題解決をフォローする体制を準備する

# 対立の問題

  • 新しい組織でのパワーバランスをめぐり、従業員間で対立が生じます。
  • 適切なポジションが用意できない場合、変革自体に反対するメンバーが現れます。

# 解凍-変化-再凍結モデル

  • レヴィンが主張する変革のステップです。
  • 変革前は、均衡が取れた状態です。変革のため、一度均衡を壊す(解凍)する必要があります。
  • 組織変革には以下の3つのステップが必要だと主張しています。
    1. 解凍
    • メンバーに変わろうというモチベーションを持ってもらう
    • 現状の認識誤りを認識させる
    • 心理的な障壁を取り除く
    1. 変化
    • 新しい役割を再定義する
    • 模範的な人材ロールモデルから学んでもらう
    1. 再凍結
    • 変革後の役割をどう感じているか確認の介入を行う
    • 新しいやり方のフィードバックを受ける機会を与える

# クライシスマネジメント

  • 予測不能な事態に対応する管理手法です。

# クライシス

  • 感染症の拡大、自然災害、経営者の死亡、企業買収などのイベントのことです。

# 360度調査

  • 上司や部下によって自身の周囲の人から評価を行う制度です。

# 雇用

  • 求人、選考、配置、人事異動、昇進・昇格、休職、退職の領域を管理します。

# 採用管理

  • 人材の募集から、選考や採用までに行う管理のことを言います。
  • 働き方の多様化に伴い、正規社員だけでなく契約社員、パートタイマーなどの活用も検討する必要があります。

# 配置管理

  • 職務にふさわしい人材を適材適所にするための管理のことを言います。
  • 企業としての人員計画、職務に必要な資格要件、本人の職務能力が一致することが重要です。
  • 配置転換は以下の理由で行われます。
    • 従業員の能力を十分に発揮するため
    • 経営上の背景(新製品の開発、新事業分野への進出)に対応するため
    • 部門間の労働力を分配するため
    • 不正防止のため

# 質的基幹化

  • 正社員でないメンバーの能力が高まることで正社員と同等の責任を持つ職務に従事することです。

# 水平的異動

  • 配置転換のことです。

# 垂直的異動

  • 昇格/降格のことです。

# 社内公募制度

  • 新しいビジネスへの進出等にあたって、担当する仕事内容を明らかにした上で、その仕事に就きたい人材を社内から募集することです。

# カフェテリアプラン

  • 企業が用意するいくつかの福利厚生メニューから、従業員が自身のポイントと交換する形で利用する制度です。

# 退職管理

  • 従業員が労働契約を解除することです。
  • 定年退職と中途退職があります。
    • 定年退職: 一定の年齢に達すると自動で退職となる制度です。
    • 中途退職: 自己都合退職と会社都合退職があります。

# 雇用延長制度

  • 高年齢者雇用安定法により、企業には定年の伸長や継続雇用制度の措置が義務付けられています。
  • 継続雇用には次の2種類があります。
    • 勤務延長: 定年前と同じ処遇のまま退職期間を延長します。
    • 再雇用: 一度退職させて嘱託として再雇用します。定年前より待遇が悪くなります。

# 雇用調整

  • 事業の状況に合わせて人員の調整を行うことです。
  • 労働者数(あるいは労働時間)による調整と、賃金による調整があります。
  • 労働時間による調整
    • 採用人数の調整
    • 出向、転籍
    • 早期退職者の募集
    • 解雇
    • 残業規制
  • 賃金による調整
    • 賞与の調整
    • ベースアップの水準変更
    • 昇級の停止・延期
  • ネガティブな調整は社員の士気に影響することを考慮しなくてはなりません。

# 資格制度

# 職能資格

  • 職務資格の等級を定義して、その基準に基づいた人事処遇を行うことです。
  • 職務の困難さ、複雑さ、責任の重さなどを使って基準を定義します。
  • 能力主義の人事を行い、社員の動機づけや能力開発を狙います。

# 専門職

  • スペシャリストとして管理職と同等の地位と賃金を保証しようとする制度です。
  • 専門技術を持つ人材が管理職ポストの不足で昇進できない問題を解消しようとしています。
  • 主任研究員などの名称を与えます。

# 能力開発

# OJT(On the Job Training)

  • 日常業務を通じて上司から部下へ指導育成していく教育方法です。
  • 実務に沿った教育なので、育成スピードが速いです。
  • 実行計画やマニュアルの準備があるとよりスムーズです。

# Off-JT(Off the Job Training)

  • 外部の専門講師を招いて社内で行うセミナーのことです。
  • 次のようなセミナーが該当します。
    • 階層別研修
    • 新入社員研修
    • 中堅社員研修
    • 管理職研修
    • 経営者教育

# 自己啓発

  • 社員が自らの意思で行う能力開発です。
  • 通信教育などが代表です。
  • 企業として次のような補助を行うことが重要です。
    • 通信教育講座の補助、紹介
    • 資格取得の補助
    • 図書の貸し出し
    • 社外講義の紹介、補助
    • 留学

# ジョブローテーション

  • 一定の期間で職場や職務を変えることにより、社員の能力開発を行う方法です。

# CDP(Career Development Program)

  • 社員個人の生涯キャリアと会社の長期経営目標をリンクさせる長期的な育成方法です。
  • 計画に則した配置転換や昇進などを行います。

# 賃金管理

# 賃金の体系

  • 月例賃金と賞与で構成されます。
  • 月例賃金は次のように分かれます。
    • 所定内賃金: 基本給、各種手当
    • 所定外賃金: 時間外勤務手当、休日勤務手当

# 基本給

  • 賃金算定の中核であり、賃金の大半を占めます。
  • 基本給は次のような種類があります。
    • 属人給: 年齢や勤続年数などの個人的な要素で決まる賃金
    • 職務給: 職務の価値の大きさで決まる賃金
      • シングルレート: 1等級1賃金を定める形態です。
      • レンジレート: 1等級1レンジ(範囲)を定める形態です。
    • 職能給: 職務遂行能力で決まる賃金
    • 総合給: 総合的な判断によって決まる賃金

# 賞与

  • 業績などを反映させて、弾力的な金額を支給する制度です。
  • 金額算定のベースは所定内賃金(残業代を含まない)を使います。

# 年俸制

  • 賞与を含めた年間賃金をあらかじめ決めておく制度です。
  • 成果主義の代表的存在です。

# ベースアップ

  • 賃金テーブルを書き換えて給与水準を高めることです。
  • 全ての従業員に対し、画一的に給与アップが行われます。

# 昇給

  • 個々の年齢、職務遂行能力、職務内容などに応じて、賃金を増額することです。
  • 長期勤続を促すため、長期にわたって一定の賃金上昇を約束する側面もあります。

# スキャロンプラン

  • 売上高を基準とした賞与の算定方法です。

# ラッカープラン

  • 付加価値を基準とした賞与の算定方法です。

# 労働安全衛生

  • 労働災害の防止、作業環境による健康被害を防ぐための管理です。

# 労働安全管理

  • 労働災害を防止するための管理です。

# 災害補償

  • 災害防止をいくら対策しても、完全に防ぐことは困難です。
  • 不幸に災害を受けた従業員を救済するために「労働者災害補償保険法」があります。

# 強度率

  • 災害の度合いを表す指標です。
  • 1,000労働時間 あたりの 死傷による労働損失日数 で表現されます。
  • 次の方法で計算します。
    • 強度率 = (労働損失日数 ÷ 延べ実労働時間) × 1,000

# 度数率

  • 1,000労働時間 あたりの 1日以上休業の死傷者数 で表現されます。
  • 次の方法で計算します。
    • 度数率 = (死傷者数 ÷ 延べ実労働時間) × 1,000

# 労働衛生管理

  • 作業環境による健康被害を防ぐための管理です。
  • 従業員の健康など、目で見えにくい被害が含まれています。

# 労働基準法

  • 労働基準法は、労働者が生活できる最低限のラインを示すものです。
  • 賃金、労働時間、労働契約などの条件に関する最低条件を定めています。
    • 労働者は使用者と比べて弱い立場にあるので、何の制約もなく自由な労働条件を定められたら、劣悪条件で働くことになってしまいます。

# 労働条件

  • 賃金、労働時間、解雇、災害補償、安全衛生など、労働者の職場における全ての待遇を言います。

# 労働の契約

  • 労働に際して様々な協定/契約が結ばれます。
    • 労働協約: 労働組合と使用者が結ぶ労働条件のことです。
    • 就業規則: 会社の労働者が守るべき規則、賃金、労働時間などを定めた規則のことです。
    • 労働契約: 労働者個人と使用者が結ぶ契約のことです。
  • それぞれで同じ内容が定義されている場合、次の順番で効力があります。
    • 労働基準法 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約

# 就業規則

# 終業規則の作成手続き

  • 常時10人以上の労働者を雇う使用者は次の手続きが義務付けられます。
    • 就業規則を作成すること
    • 労働基準監督署長に届出すること
  • 作成した就業規則は、従業員に周知することが義務付けられます。
    • 周知しなければ効力は発揮しないものとされています。
    • 当該労働者に該当する部分のみを抽出して書面交付する方法も可能です。
    • 周知方法としては電子掲示板等でもOKです。

# 就業規則の記載事項

  • 就業規則に記載する内容は、次の3つに分類されます。
    • 絶対的必要記載事項: 記載が義務付けられている項目です
    • 相対的必要記載事項: そのルールを適用したい場合、就業規則に書いていないと効果を発揮しない項目です。
    • 任意的必要記載事項: その他の事項です。

# 絶対的必要記載事項

  • 就業規則に必ず書かなくてはならない事項です。
  • 絶対的必要記載事項は次のようなものがあります。
    • 終業時間、休憩、休暇、休日のこと
    • 賃金の支払い時期、昇給に関すること
    • 退職に関すること

# 相対的必要記載事項

  • 就業規則に書くことで有効になる事項です。書いていない場合、その事項に関する効力が発揮しません。
  • 相対的必要記載事項は次のようなものがあります。
    • 退職手当に関すること
    • 安全衛生に関すること
    • 職業訓練に関すること
    • 災害補償に関すること
    • 表彰、制裁に関すること

# 就業規則作成の手続き

  • 就業規則の作成/変更は、以下のいずれかから意見を聞かなければなりません。
    • (労働者の過半数を擁する)労働組合
    • 従業員の過半数
  • 複数事業所を有する会社の場合、就業規則は事業所ごとに届け出る必要があります。
    • 条件を満たせば、本社から一括で提出もできます。

# 部分無効の引き上げ

  • 労働基準法の基準に満たない劣悪な労働契約は、その記載部分が無効になります。
  • 労働基準法に違反している契約部分は、労働基準法で定める最低基準で契約したこととなります。(労基法で定める内容で効力が発生します)

# 契約期間

  • 契約期間の定めがある労働契約は、契約上限3年の有期契約とすることができます。
  • 以下の条件を満たす場合は5年です。
  • ① 厚生労働省が定める専門知識を有する労働者との契約
    • 公認会計士、医師、弁護士、一級建築士、薬剤師、不動産鑑定士、税理士、社会封建労務士、弁理士、技術士など
  • ② 60歳以上の労働者との労働契約

# 有期労働契約の更新

  • 1年以上の契約を行っている労働者との契約を更新しない場合、30日前までに予告が必要です。
  • 契約更新しない理由について証明書を求められた場合、交付しなくてはなりません。
  • 通算で5年以上の契約更新がされた場合、労働者の希望により無期契約に転換できます。

# 賃金

  • 賃金とは、賃金、給料、手当、賞与、その他名称を問わず、労働の対価として支払われる全てのものを指す言葉です。

# 賃金の原則

  • 賃金には5つの原則があります。
    • 通貨払いの原則: 賃金は原則として通貨で支払うこと
      • 銀行振込は、労働者の希望があれば可能
      • 労働協定などにより現物支給とすることも可能
    • 直接払いの原則: 賃金は、労働者に直接支払うこと
      • 未成年者の働きを保護者に支払うような行為は禁じられています
    • 全額払いの原則: 賃金は全額を支払わなければなりません
      • 企業は、税金や社会保険料を控除した残額を支払うこと
    • 月1回以上の原則: 賃金は、毎月1回以上払わなくてはなりません
    • 一定期日払いの原則: 賃金は毎月決まった日付に支払わなくてはなりません。

# 平均賃金

  • 賃金算定の事由が発生日を基準として、その直前3ヶ月前に支払われた平均賃金の金額です。
  • 次の方法で計算します。
    • 3ヶ月の賃金総額 ÷ 算定に使用した総日数

# 割増賃金

  • 労働時間を延長する場合、あるいは休日に労働させた場合は通常の賃金より多くの支払いが必要です。

  • 事象ごとに支払う最低限の割合が次のように定められています。

    事象 割増額
    法定時間外の労働 2割5分(+25%)
    時間外が60時間を超えた分 5割(+50%)
    法定休日の労働 3割5分(+35%)
    深夜労働 2割5分(+25%)
    時間外+深夜労働 5割(+50%)
    時間外+深夜労働+60時間Over 7割5分(+75%)
    法定休日+深夜労働 6割(+60%)

# 休業手当

  • 使用者に責任のある休業の場合、使用者は平均賃金の60/100(60%)を手当として支払わなくてはなりません。

# 解雇

  • 使用者の一方的な意思表示による労働契約の終了です。
  • 解雇は労働契約法によって、社会通念上相当であると認められない場合は無効となります。

# 解雇の制限

  • 以下の場合、働く意思があるにも関わらず職を奪うことは人道上の問題があり、該当する期間中は解雇ができません。
    • 業務上の負傷で休業している期間と、復帰から30日後までの間
    • 産前産後休暇の休業期間と、復帰から30日後までの間
  • ただし、以下の条件になると解雇可能になります。
    • 負傷の休業から3年が経過しても治らず、打ち切りの補償として1,200日分の支払いを行った場合
    • 天災等で事業の継続が不可能となった場合

# 解雇予告

  • 30日前に解雇を予告するか、30日分以上の給与を支払わなくてはなりません。
    • 20日前に予告して10日分を支払うような組み合わせの解雇も可能です。
  • ただし、天変地異で事業を継続できない場合、労働者の責めに帰す事情がある場合は予告不要です。

# 労働時間

# 法定労働時間

  • 労働基準法で定める労働時間の原則です。
  • 原則として、週40時間/1日8時間を超えて労働させてはなりません。

# 所定労働時間

  • 就業規則で定める労働時間のことです。
  • 法定労働時間を超えることはできません。

# 変形労働時間

  • 一定の条件内であれば、法定労働時間を超えることが認められる制度です。
  • 一定の期間を平均した時間が、週あたりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲で、労働をさせることができます。

# フレックスタイム制度

  • 労働者自身が始業就業を決めて働ける制度です。
  • 一定の期間を平均した時間が、週あたりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲で、労働者自身が始業/就業の時間を決定できます。

# 休憩

  • 使用者は労働者を一定時間以上働かせる場合、休憩を与えなくてはなりません。
    • 1日の労働時間が6時間を超える場合、少なくとも45分の休憩を与えること
    • 1日の労働時間が8時間を超える場合、少なくとも1時間の休憩を与えること
  • また、休憩時間は労働時間の途中に与え、その時間は労働者の自由に使わせなくてはなりません。

# 休日

  • 使用者は労働者に対して毎週少なくとも1回の休憩を与えなくてはなりません。
    • 4週間で4日の休日を与えなくてはなりません。

# 時間外労働

  • 法定労働時間を超えて働く、いわゆる残業のことです。
  • 原則として、以下の時間を超えることはできません。
    • 月45時間
    • 年360時間
  • 時間外労働をさせるには、36協定を結ぶことが条件です。

# 36協定(サブロク協定)

  • 労働基準法36条のことです。
  • 会社が時間外労働/休日労働を命じる場合、以下の手続きを行うことが義務付けられています。
    • 労働組合または従業員の過半数を代表する者と書面で協定を結ぶこと
    • 労働基準監督庁に届け出ること

# 特別条項付き36協定

  • 特別な事情がある場合に限り、時間外労働の上限を超えて残業をさせることができます。
  • 特別条項付き条項付き36協定であっても、次の時間は越えられません。
    • 月100時間まで
    • 2ヶ月/6ヶ月の平均が80時間まで
    • 年720時間まで
    • 時間外労働の基準を超える回数が年6回まで
  • 特別条項を認める基準は線引きされていませんが、通常予見することのできない大幅な増加が予想される場合に限るそうです。

# みなし労働時間制

  • 裁量度が高く、指揮監督が及ばない業務において、みなしの労働時間として労働時間を算定することが認められています。
  • みなし労働時間制には次の種類があります。
    • 事業所外労働制
    • 専門業務型裁量労働制
    • 企画業務型裁量労働制

# 事業所外労働制

  • 事業所外で働く労働者は、みなし労働時間を働いたものとして扱うことができます。
  • みなし時間に設定できる時間は以下のものです。
    • 原則: 所定労働時間
    • 業務遂行に通常必要とされる時間がある場合: その時間
    • 労使協定がある場合: 協定で定めた時間

# 専門業務型裁量労働制

  • 業務遂行の方法を大幅に労働者へ委ねている場合の制度です。
  • 協定で定める時間を働いたものとみなします。

# 企画業務型裁量労働制

  • 労使委員会で決議した内容(対象となる業務、みなし労働時間)で働かせることができる制度です。

# 年次有給休暇

  • 給料の発生する休暇で、付与された日数の間であれば、従業員が任意のタイミングで取得することができます。

# 有給休暇の日数

  • 6ヶ月間継続で勤務し、かつ労働日の8割以上を出勤した従業員に対し、10労働日の休暇を与えなくてはなりません。

# 産前産後

  • 次の条件に合致し、労働者が休業を希望する場合、使用者は就業してはいけません。
    • 産前: 6週間
    • 産後: 8週間

# 労働安全衛生法

  • 労働災害を防止するための法律です。
  • 次のようなことを行います。
    • 危害防止基準の作成
    • 責任体制の明確化
    • 自主的活動の促進

# 労働災害

  • 労働者が業務に起因して負傷/疾病/死亡してしまうことです。

# 総括安全衛生管理者

  • 一定の規模を超える事業者は、事業場ごとに総括安全衛生管理者を設置しなくてはなりません。
  • 一定の規模とは、次の基準で判定します。
    • 屋外の業務(建設/林業/運送など)では、常時雇用者が100人以上の規模
    • 工業の業務(製造/小売/水道光熱/卸売など)では、常時雇用者が300人以上の規模
  • 安全衛生管理者は、安全管理者/衛生管理者(後述)を管理指揮する役割を担います。

# 安全管理者

  • 50人以上の労働者を使用する場合、有資格者(厚労省の定める研修を修了した者、労働安全コンサルタント等)を選任しなければなりません

# 衛生管理者

  • 50人以上の労働者を使用する場合、有資格者(衛生管理者免許、医師、労働衛生コンサルタント等)を選任しなければなりません。
  • 衛生管理者は、少なくとも週1回は作業場を巡視しなければなりません
  • 有害な影響を与える恐れがあるものは、直ちに対策措置を行わなければなりません

# 健康診断

  • 労働安全衛生法によって、所定のタイミングで健康診断の実施が義務付けられています。

# 雇用時

  • 一定の項目に関する健康診断を受けなければなりません。

# 定期健康診断

  • 1年以内ごとに1回、健康診断を行わなければなりません。

# 特定業務従事者

  • 坑内業務や深夜業務などの普段が大きい従事する従業員に対し、配置換えのタイミング/6ヶ月ごとのタイミングで、健康診断を行わなければなりません。

# 海外労働派遣者

  • 海外へ6ヶ月以上滞在しようとする場合、あるいは6ヶ月以上滞在の上で帰国した場合、健康診断を受けなければなりません。

# 記録の保持

  • 使用者は、健康診断の結果から個人情報個人票を作成して5年間保存しなければなりません。

# 産業医面談

  • 以下の両方を満たす従業員に対し、医師面談を行わなくてはなりません。
    • 残業(時間外/休日労働の合算)が1ヶ月当たり80時間を超えている場合
    • 疲労の蓄積があ離、本人からの面談の申し出がある場合
  • つまり、労働者は長時間の時間外労働をしていても、面談を拒否することができます。
  • 2019年の安全衛生法の改正により、事業者が行うべき対応が増えました。
    • 事業者は管理監督者も含めて労働実態を把握しなくてはなりません。
    • 時間外労働が80時間を超える労働者の情報を産業医に伝えなくてはなりません。(居ない時は居ないと伝える)
    • 産業医は面接を行った結果から考えられる必要な措置を事業者に伝え、事業者は行った措置を産業医に伝えなくてはなりません。
    • 措置が不十分な場合、産業医は事業者に勧告を行い、事業者は衛生委員会に報告しなくてはなりません。

# 労災保険

  • 労働者災害補償保険法のことです。
  • 以下の3つの事象について保険給付を行います。
    • 業務災害
    • 通勤災害
    • 二次健康診断

# 業務災害/労働災害(労災)

  • 業務上の理由による災害(負傷、疾病、障害、死亡など)のことです。
  • 給付金が支払われます。
  • 以下の両方を満たす場合に適用されます。
    • 業務遂行制: 労働者が事業者の支配下にある状態を言います。
    • 業務起因性: 業務に起因して災害が発生し、障害と因果関係があることを言います。

# 通勤災害の給付金

  • 通勤途中の災害のことです。
  • 通勤とは、労働者が就業のために合理的な経路及び方法で移動することを示します。
    • 住居から職場への移動
    • 複数事業間の移動
  • 離脱/中断とは、私的な理由で経路を逸脱することです。例えば次のような事例があります。
    • 飲み会の帰り: 通勤ではなくなります。
    • 日用品の購入: 日常生活で必要な最小限の行為として離脱中のみが私用であり、元の経路に戻ったところから通勤扱いになります。
    • 通院: 日常生活で必要な最小限の行為として離脱中のみが私用であり、元の経路に戻ったところから通勤扱いになります。

# 雇用保険

  • 労働者が失業した場合に給付が行われます。

# 雇用保険の給付

  • 雇用保険の給付は、次のようなものがあります。
    • 求職者給付: 失業した時の給付金
    • 就職促進給付: 求職活動を促進するための給付金(求職活動支援/就業促進/移転等)
    • 教育訓練給付: 職業訓練を受けた時の給付金
    • 雇用継続給付: 雇用継続が困難な事由(育児/介護等)が発生した時の給付金

# 健康保険

  • 業務外の自由(疾病/負傷/死亡/出産)に対する給付です。
  • 健康保険は、労働者の扶養家族についても同様の事由で給付されます。

# 標準報酬月額

  • 健康保険は、事業者から支払われる報酬に基づいて、保険料や保険給付金が計算されます。
  • 月によってバラつきがあるので、4月〜6月に受け取る金額を標準と定めて決定します。

# 厚生年金保険

  • 労働者の老齢/障害/死亡の際に給付金を支払います。
    • 他と異なり、疾病/負傷は対象外です。

# 老齢給付(年金)

  • 被保険者だった人が65歳に達すると、老齢厚生年金が支給されます。
    • 老齢厚生年金は、老齢基礎年金に上乗せされて支給されます。

# 労働組合法

  • 労働者と使用者が対等の立場で交渉するための法律です。

# 労働組合の交渉権限

  • 労働組合の代表者、または委任を受けた人は、使用者と労働協約等について交渉する権限を持ちます。

# 不当労働行為

  • 次の行為は不当労働行為として禁止されています。
    • 労働組合に加入しないことを前提に雇用すること
    • 労働組合の運営に介入すること
    • 労働組合の運営のために経費支払い等の援助を行うこと

# 労働契約

  • 労働者と使用者で結ぶ労働に関する基本的な契約のことです。

# 期間の定めのある労働契約

  • 使用者は、やむを得ない事由がない限り、有期契約の労働者を解雇できません。
  • 5年を越えて契約が反復更新された場合、労働者の申込みによって無期労働契約に転換できます。
    • 別段の定めがない限り、直前の有期契約と同じ労働条件が続きます。

# 高齢者雇用安定法

  • 高齢者の職業安定により、社会の発展に寄与することを目的とした法律です。
  • 次のような措置を取らなくてはなりません。
    • 定年の引き上げ (65歳まで)
    • 継続雇用制度の導入
    • 定年の定めの廃止

# 高齢者

  • 55歳以上の者を示します。

# 育児休業

  • 1歳に満たない子を養育する者は、事業者に申し出て育児期間の休業することができます。

# 介護休業

  • 要介護状態にある家族を有する者は、事業者に申し出て休業することができます。

# 男女雇用機会均等法

  • 雇用における次の事項を目的とする法律です。
    • 男女の均等な機会を確保する
    • 男女の均等な待遇を確保する
    • 妊娠中/出産後の健康の確保する
  • 2019年の改正で、女性だけでなく男性に対する差別も禁止されています。
  • 性別を理由に差別することが禁止されている事項
    • 募集や採用に関すること
    • 配置・昇進・降格・教育訓練
    • 福利厚生
    • 職種や雇用形態の変更

# 障害者雇用促進法

  • 障害者の職業の安定を図ることを目的とする法律です。

# 障害者雇用義務

  • 事業主は、全雇用者のうち一定の割合以上で障害者を雇用しなくてはならないと定められています。
    • 一般事業主: 2.2%以上(46人につき1人)
    • 国・地方公共団体: 2.5%以上
    • 都道府県教育委員会等: 2.4%以上
  • この法定雇用障害者数が未達の場合、不足人数1名につき月5万円の納付金を支払う義務が生じます。
    • 逆に法定人数より多くの雇用をしている場合は、超過人数1名につき2万7千円の雇用調整金が支払われます。

# 労働者派遣法

  • 労働力の需給を調整し、雇用の安定を目的とする法律です。

# 労働者派遣事業

  • 労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要です。
  • 新規参入は3年の期限、更新は5年の期限が設定されます。

# マーケティング

  • AMA(アメリカマーケティング協会)はマーケティングを次のように定義しています。
    • 顧客やクライアント、パートナー、さらには広く社会一般にとって価値のある提供物を創造・伝達・提供・交換するための活動とそれに関わる組織・期間、および一連のプロセスです。

# ニーズ

  • 顧客が本質的に持っている欲求のことです。
    • 化粧品であれば、「自分の肌を美しく見せたい」といった欲望のことです。
  • 商品を買う目的/理由になります。

# ウォンツ

  • 顧客が表層的に持っている欲求のことです。
    • 化粧品であれば、「肌つやα が欲しい」といった欲望のことです。
  • ニーズを達成する手段に対する欲求です。
  • 1つのニーズに対して、複数のウォンツが考えられます。

# セリング

  • 目先の販売に重点を置いて「売り込む活動」をすることです。
  • マーケティングによって「売れる仕組み」ができると、セリングに費やす時間を減らすことができます。

# マーケティングミックス(マーケティング4P)

  • 4つのPからなるマーケティングの考え方です。
    • Product: 製品戦略
    • Price: 価格戦略
    • Promotion: 広告戦略
    • Place: チャネル戦略

# ターゲットフィット

  • マーケティングミックス(4P)の戦略と、ターゲットとする顧客について整合性を取ることです。

# マーケティングコンセプト

  • マーケティングの考え方です。
  • フィリップコトラーは、次の概念を述べました。
    • 生産志向(製品志向)
    • 販売志向
    • 消費者志向
    • 社会志向

# 生産志向

  • 1900年〜1930年ごろの考え方です。
  • モノが不足していたので、作れば作るだけ売れました。
  • 生産活動を効率的に行うことが重要なテーマとなっていました。

# 販売志向

  • 1930年〜1950年ごろの考え方です。
  • 生産技術の革新などもあり、消費者の所得水準が高くなりました。
  • 販売を効率的に行うことが重要なテーマとなっていました。

# 消費者志向

  • 1950年〜現在の考え方です。
  • 消費者の嗜好が多様化し、さまざまなニーズが生まれました。
  • 顧客のニーズを探り、売れる仕組みを作ることが重要なテーマとなりました。

# 社会志向

  • 現在〜未来にかけての考え方です。
  • 企業も、社会の一員として責任を果たすことが求められます。
  • 事業を通じて社会的責任を果たすことが重要なテーマとなります。

# マーケティングパラダイム

  • マーケティングの視点で「取引」を見たときの捉え方です。
  • 時代や市場によって変化する枠組みです。
  • 次の順に変化をしてきました。
    • 刺激-反応パラダイム: 売り手中心の広告戦略を重視する考え方
    • 交換パラダイム: 買い手の満足度を高めるニーズを重視する考え方
    • 関係性パラダイム: 信頼関係の構築を重視する考え方

# ソーシャルマーケティング

  • 社会とマーケティングの関係を考察することです。
  • 次の種類があります。
    • 非営利組織のマーケティング: コトラーの理論
    • 社会志向のマーケティング: レイザーの理論

# 非営利組織のマーケティング

  • 営利団体向けのマーケティング技法を非営利団体でも活用することです。
    • 非営利団体: 学校、病院、地方公共団体、美術館など

# 社会志向マーケティング

  • 社会責任などの視点を企業の意思決定に反映するアプローチです。
  • アプローチは2つの考え方があります。
    • 社会責任アプローチ: 排気ガス、環境破壊、欠陥車などの問題に対するディスクロージャーを含めたマーケティング
    • 社会貢献アプローチ: 本業とは別の慈善活動によって社会貢献をする考え方です。

# メセナ

  • 企業が資金を投入して、文化や芸術の活動を支援することです。

# フィランソロピー

  • 慈善活動として、金銭、物品、時間、労力を捧げる行為のことです。

# コーポレートシチズンシップ

  • 企業も社会活動を行う一員として、地域社会の健全な発展に貢献することです。
  • 寄付やボランティア活動などが含まれます。

# コーズリレーテッドマーケティング

  • 売上で得た利益の一部を社会貢献として寄付することで、企業イメージ向上を図るマーケティング手法です。

# グリーンマーケティング

  • 地球環境に配慮した製品/サービスそのものを提供することです。
  • 企業イメージ改善、ブランド価値向上、などのメリットがあります。
    • 例えば、無印良品のような無駄のないパッケージはこれに該当すると思います。

# 消費者行動

  • 消費者が製品やサービスに関連して実施する行動(および意思決定)のことです。

# 心理的特性

  • 消費者行動には心理的な特性が関与します。
  • 次のようなものがあります。
    • 動機: ニーズ、内的な要因によって行動を起こしたいと思う概念
    • 知覚: 情報を選択、整理、解釈するプロセス
    • 学習: 経験によって起こる行動の変化
    • 態度: 対象に対して抱く評価や感情のこと

# モチベーションリサーチ

  • 消費者行動における潜在的な欲求を分析する手法の1つです。
  • 少数の被験者に対し、専門家が十分な時間を掛けて購買動機を探る面接を行います。
  • サンプル数が多く取れず、主観が入るので、衰退しました。

# S-Rモデル(刺激-反応モデル)

  • 消費者の心理は解明できないもの(ブラックボックス)と考えるモデルです。
    • なので、刺激を与えることでどのような反応をするかを観測する考え方をします。
  • 刺激とは、プロモーション等で消費者の購買行動に働きかけることです。
  • 反応とは、製品やブランドの選択等の消費者の購買行動のことです。

# S-O-Rモデル(刺激-生活体-反応モデル)

  • S-Rモデルでブラックボックスとされていた消費者心理を明らかにしようとするモデルです。

# ハワードシェスモデル

  • 消費者が外部からの刺激によってどのような選択/行動をするかを扱うモデルです。
  • 前提として、刺激なしに反応(消費行動)は起こらないと考えます。
  • 消費者の意思決定は、製品ライフサイクルに連動して、次の3つに分かれると考えます。
意思決定の型 概要 製品ライフサイクル
拡大的問題解決行動 広範囲に情報探索を行い、長い時間をかけて意思決定をする行動 導入期
限定的問題解決行動 ある程度製品に詳しい消費者がブランドを見比べて購買をする行動 成長期
日常的反応行動 購買する前に調べたりせず、いつもの製品を繰り返し購買する行動 成熟期、衰退期

# 消費者行動類型

  • アサエルが提唱した消費者行動の分類です。
  • ブランド知覚差異(ブランド間の違いがどれだけ気になるか)と、製品関与(製品自体に対する関与の度合い)を用いて4章限に分類しました。
製品関与 ブランド差異 消費者行動
高い 大きい 複雑型購買行動
高い 小さい 不協和解消型
低い 大きい バラエティシーキング型
低い 小さい 習慣型

# 複雑型購買行動

  • 購買への関与度が高く、ブランド間の違いが意識された状態における、消費者の行動です。
  • その製品について自身の考え方を持っていて、熟考した上で購買行動を起こします。
  • 価格が高くて消費者の嗜好がはっきり出る製品で多く見られる行動です。

# バラエティシーキング型購買行動

  • 購買への関与度が低いが、ブランド間の違いが意識された状態における、消費者の行動です。
  • 消費者はさまざまなブランドを試すために、ブランドスイッチングが頻繁に発生します。

# 不協和音解消型購買行動

  • 購買への関与度は高いが、ブランドの違いが意識されない状況における、消費者の行動です。
  • どのような製品があるのか店を見て回るような行動をとります。
  • 手頃な価格、買いやすい条件のある製品を選びます。それほど時間をかけずに購入します。

# 習慣型購買行動

  • 購買への関与度が低く、ブランドの違いが意識されない状態における、消費者の行動です。
  • 適当な商品んを選択するか、決まったブランドを習慣的に購買します。

# コンタクトポイント

  • 顧客の行動に合わせて設定する窓口や対応方法のことです。
  • 品質を判断する力と購買関与によって消費者行動は変わります。
    • 購買関与度が高い人は、情報を調べる量は大きく広範囲に至ります。
    • 品質判断力が高い人は、カタログなどを見て自力で判断します。
    • 品質判断力が低い人は、カタログを見てもわからないので店員に加工された情報を必要とします。
  • それぞれ取るべきアクションは以下の通りです。
品質判断力 購買関与度 取るべきアクション
高い 高い 製品仕様書やパンフレット等の文字情報の提供
高い 低い 現物サンプリングの提供
低い 高い 販売委員の説明、口コミ
低い 低い テレビCM等の広告

# 知名集合

  • 消費者が知っているブランド全てのことです。

# 想起集合

  • 買いたいと考えているブランドのことです。
  • 真っ先に思い出す(想起される)ブランドです。

# 拒否集合

  • 買いたくないと考えているブランドです。

# 精緻化見込みモデル

  • 広告を目にした場合などで、商品者自身がどのように意思決定をするかを考えるモデルです。
  • 意思決定のルートは2つあります。
    • 中心的ルート
    • 周辺的ルート

# 中心的ルート

  • 製品やサービスの購入に際し、情報を入念に確認する行動です。
  • 購買において、十分な動機/能力/機会が揃っている時に通るルートです。

# 周辺的ルート

  • 周辺の手掛かりをもとに意思決定を行います。
  • 例えば、テレビCMに有名俳優を使用する等

# AIDMA

  • 消費者が製品を知ってから購入するまでの一連の流れを示したモデルです。アイドマとよみます。
  • 次の流れです。
    • Attention(注意)
    • Interest(興味)
    • Desire(欲求)
    • Mempry(記憶)
    • Action1(行動)

# AISAS

  • 消費者が製品を知ってから購入するまでの一連の流れを示したモデルです。アイサスと読みます。
  • インターネットの普及に伴い、AIDMAからAISASに移る流れが注目されています。
  • 次の流れです。
    • Attention(注意)
    • Interest(興味)
    • Search(検索)
    • Action(行動)
    • Share(共有)

# ライフスタイルアプローチ

  • 生活に対する考え方や習慣などをもとに、消費行動を分析することです。

# ライフコースアプローチ

  • 人生の分岐をもとに、消費行動を分析することです。
  • その人が選択したライフコースによって生活構造が異なります。

# ライフサイクルアプローチ

  • 家族の生活周期(誕生から死ぬまで)をもとに、消費行動を分析することです。
  • 生活周期は以下のとおりです。
    • 独身段階
    • 新婚段階
    • フルネスト: 子育てをしている情報、巣が満タンの状態
    • エンプティネスト: 子供が自立して、巣が空っぽの状態
    • 高齢単身段階:配偶者をなくした高齢単身者

# DINKS: Double Income No KidS

  • 夫婦共に働き、かつ子供がいない家庭のことです。

# 代償型ヒューリスティック

  • 消費者行動における代替案との比較評価方法の一種です。
  • 否定的評価と肯定的評価で相殺する考え方をします。

# 非代償型ヒューリスティック

  • 消費者行動における代替案との比較評価方法の一種です。
  • 否定評価が肯定評価によって相殺されない考え方をします。
  • 以下のような種類があります。
    • 連結型: 必須条件を設定して評価する手法
    • 分離型: 十分条件を設定し、条件を超過する代替案を選択する手法
    • 辞書編纂型: 最も重要な事項を設定し、その項目で高い評価の代替案を選択する手法
    • EBA(elimination by aspects): 必須条件を満たさない代替案を順に排除していく手法

# 購買意思決定

  • 製品に関心を持ってから購買の意思決定を行うまでの一連のプロセスのことです。
  • コトラーは次の5つのプロセスで表現しました。
    • 問題認識
    • 情報探索
    • 代替案の評価
    • 購買行動
    • 評価

# 問題認識

  • 普段の生活で不便を感じた時に生じる認識のことです。

# 情報探索

  • 発見した問題を解決する方法を探ることです。
  • 自身(内部情報)で解決できない場合、外部情報を使って解決方法を探ります。
  • 外部情報には以下のようなものがあります。
    • 個人的情報源: 家族、友人、知人、隣人等
    • 商業的情報源: 広告、ウェブサイト、販売員等
    • 公共的情報源: マスメディア、製品評価を行う団体
    • 経験的情報源: 製品使用体験等

# 代替案の評価

  • 複数の選択肢から1つを選ぶためにそれぞれの案を評価します。
  • 購買の意思決定においては、製品サービスの質だけではなく、店舗や接客等も評価に影響します。

# 購買行動

  • 代替案の中から最も評価の高い製品を選択します。
  • 評価が決まった後に生じる知覚リスクによって、意思決定を保留することがあります。

# 知覚リスク

  • 商品の購入/消費の際に感じるリスクのことです。
    • 例えば、「思ったように動かなかったらどうしよう」、「支払う対価に見合う機能なのだろうか」等
  • 知覚リスクが大きくなると、意思決定を先延ばししたり、変更することもあります。

# 評価

  • 購買後、実際に製品を使用することで、自らの意思決定が正しかったかを評価します。
  • 期待を上回ればリピート購買に繋がりますが、不満足の場合は再購入はされなくなります。
    • 消費者の期待の高さは、同じ機能を持つ製品であっても、価格などで変化します。

# 認知的不協和

  • 意思決定をした後で、自分の選択が正しかったか不安になる心理状態のことです。
  • 認知的不協和が生じた消費者は、好ましい情報を求めてホームページ/広告/口コミなどを見てしまいます。
  • 企業は認知的不協和を和らげるために、次のような施策を行うことが望ましいです。
    • 購買後の消費者の声を収集する仕組みを作る
    • 環境にやさしい素材を使用する(環境に関する不安を持つ人のため)
    • 無条件返品保証制度を採用する

# イノベータ理論

  • ロジャースが、製品が市場に浸透していくプロセスをモデル化したものです。
  • 消費者を5つのグループに分類します。
    • 革新者(Innovators): 全体の約2.5%
    • 初期採用者(Early adopters): 全体の約13.5%
    • 前期大衆(Early majority): 全体の約34%
    • 後期大衆(Late majority): 全体の約34%
    • 遅帯者(Laggards): 全体の約16%

# 革新者(Innovators)

  • 商品やサービスが新しいという理由で自ら新製品を手にとる消費者です。
  • 全体の中で見ると極わずかしかいません。
  • 多くの場合、感性が社会一般とずれているため、影響力はさほど大きくありません。

# 初期採用者(Early adopters)

  • 新しい商品を自ら評価/判断して採用する先進性を持ち、社会と感性が一致している者たちを言います。
  • 今後採用する人たちにとって参考になるため、オピニオンリーダーになり得ます。

# 前期大衆(Early majority)

  • 社会において平均的な時期に製品を購入する層です。

# 後期大衆(Late majority)

  • 平均的な時期よりも遅れて商品を購入する慎重な考えを持った層です。
  • 社会で十分な支持を受けていることが確認できてから購買を行います。

# 遅帯者(Laggards)

  • 次の新しい製品/アイデアが出ているにも関わらず、古い製品を購買する層です。

# オピニオンリーダー

  • 特定の製品カテゴリーに深い知識を持つ消費者です。
  • 個人的な接触やSNSでの発信を通じて、他の人々へ影響を与えます。

# マーケットメイブン

  • 市場や複数製品を知り尽くしている者です。
  • 人から情報発信源として頼りにされており、マーケティングで重要な役割を果たします。

# キャズム

  • ムーアが唱えた理論で、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には深い溝があると考えました。
  • 新しいハイテク製品が市場に普及するとき、この2者の間では考え方のギャップが大きく、求めるものが異なるため、市場浸透や成長が止まってしまうことを言います。

# 準拠集団

  • 個人の行動規範や自己評価に影響を与える集団のことです。
  • 家の中で使うものより、パブリックな場所で使う製品の方が影響を受けやすいです。
  • 必需品よりも、贅沢品の方が影響を受けやすいです。
  • 準拠集団には以下のような種類があります。
    • 所属集団
    • 希求集団
    • 分離集団

# 所属集団

  • 家族、学校、職場などの自らが所属する集団のことです。

# 希求集団

  • 芸能人、スポーツ選手などの憧れの集団のことです。

# 分離集団

  • 真似したくないと思う集団のことです。

# マーケティングリサーチ

  • マーケティングを効果的に実行するため、動向や変化の情報を調査することです。
  • 一般的には次の手順で実施します。
    • 調査目的を明確する
    • 調査計画を策定する
    • 調査計画を実行する
    • 調査結果を分析し、報告する

# 2次情報の収集

  • すでに収集加工された情報で公開されている情報のことです。
  • 官公庁や業界団体などが出しているレポート/刊行物などを調査します。
  • 新たに集める必要がないので時間やコストの削減になりますが、収集目的が違ったり、データが古かったりするので注意が必要です。

# 1次情報の収集

  • 自社で情報を集めることです。
  • 様々な手法があります。

# サーベイ法

  • 1次情報の収集手段です。
  • 質問フォーム等を使って情報を集めます。
  • 客観性/正確性に優れたデータが得られます。

# デプスインタビュー

  • サーベイ法の1種です。
  • インタビュアーと被験者が1体1で対話します。
  • 深い情報を得ることができる一方、調査効率は高くありません。

# グループインタビュー

  • サーベイ法の1種です。
  • 5〜10名ほどの被験者を集め、1つのテーマについて議論をしてもらいます。
  • インタビュアーは司会を務めます。

# 面接調査

  • インタビュアーと被験者が直接対面で情報を得る調査方法です。

# 電話調査

  • 電話を使って情報を得る調査方法です。

# 郵送調査

  • 調査票を用意して郵便で送る調査方法です。

# 留置調査

  • あらかじめ調査票を配布しておき、後日調査員が回収に回る調査方法です。
  • 国の調査などで使われています。(国政調査など)

# インターネット調査

  • 電話メールで質問を送ったり、ウェブ質問フォームから回答を得る調査方法です。

# 観察法

  • 人々、行動、状況を観察することで1次情報を得る手法です。
  • 様々な手法があります。

# 動線調査

  • 観察法の1種です。
  • 消費者が店舗内をどのように歩くかを追跡します。

# ストアコンパリゾン

  • 観察法の1種です。
  • 競合店舗の客層や品揃えを調査します。

# エスノグラフィ調査

  • 観察法の1種です。
  • 顧客の生活に入り込んで観察をします。

# 実験法

  • グループごとの反応の違いを実験的に見る方法です。
  • 目的に合致する人を集めたグループを複数個作り、実験を行います。

# サンプリング調査

  • 母集団の中から標本(サンプル集団)を調べることで、母集団としての結論を推測する方法です。

# 標的市場の選定

# マスマーケティング

  • 全ての消費者を対象として、体調生産/大量販売/大規模プロモーションなどを単一製品で行うことです。
  • 規模の経済を生かしつつ最大規模の市場を開発します。
  • いろいろな細かなニーズがあることは気にせず、同質と捉えたマーケティングを行います。

# ターゲットマーケティング

  • 市場をセグメントに分割して、いくつかを選択してリソースを集中させ、市場にあった製品を出す方法です。
  • コトラーはこれら3つの事象を Segmentation, Targeting, Positioning と表現しました。
    • 頭文字を取って STP と言われます。

# セグメンテーション(Segmentation)

  • STP の S です。
  • セグメントを区切るために以下のような変数が使われます。
    • ジオグラフィック変数(地理的変数)
    • デモグラフィック変数(人口統計的変数)
    • サイコグラフィック変数

# ジオグラフィック変数

  • 国、地域、人口、気候などによって細分化する方法です。
  • エリアマーケティングを行う際に重要な要素です。

# デモグラフィック変数

  • 年齢、性別、所得、学歴、職業、家族構成、居住地域、世代などによって細分化する方法です。

# サイコグラフィック変数

  • 心理学、社会学、社会心理学などによって細分化する方法です。

# 行動変数

  • 効用、使用率、ロイヤルティ、購買状況などの消費者の行動特性によって細分化する方法です。

# ロイヤルティ

  • 忠誠度のことです。
  • 消費者がブランドに対してどれくらい好意を寄せているかが表現されます。

# 市場細分化の前提

  • 細部化された市場が有用なものでなければアプローチする意味がありません。
  • そのため、細分化についてコトラーは次のような前提条件を置いています。
    • 測定可能性: セグメントの規模や購買力を測定できること
    • 到達可能性: セグメントに到達でき、マーケティング活動ができること
    • 維持可能性: セグメントが十分な規模あるいは十分な利益を得られる見込みであること
    • 差別可能性: セグメントが差別化されていること
    • 実行可能性: 効果的なマーケティングミックスが実施できること

# エリアマーケティング

  • 市場を地域ごとに細部kなして、地域ごとに異なるマーケティングを行うことです。

# ドミナント戦略

  • 特定地域に集中した店舗を展開することで経営の効率化を図ることです。
  • その地域でのシェアを得て競争優位を確立する戦略です。

# ターゲティング

  • STP の T です。
  • セグメントに分割した市場から、マーケティングを行う対象セグメントを選択することです。

# 無差別マーケティング

  • 単一のマーケティングによって市場全体を狙う戦略です。
  • マスマーケティングとほぼ同じ結果になります。

# 選択的専門化

  • 企業の目的に合わせて適切な複数のセグメントを選択する戦略を取ることです。

# 製品専門化

  • 複数の市場に販売できる1つの製品に注力する戦略を取ることです。

# 市場専門化

  • 特定の顧客グループを対象に複数ニーズを満たす戦略を取ることです。

# 集中的マーケティング

  • 1つのセグメントを選択してマーケティングミックスを行うことです。
  • ニッチャー企業が選択する戦略です。

# 1to1マーケティング

  • 個々の顧客1人1人に個別対応を行うマーケティングです。
  • 一人当たりの販売コストが高まるため、顧客との信頼関係構築や、集中的なプロモーション活動が必要になります。

# ポジショニング

  • STP の P です。
  • 競合ブランドとの相対的な位置付けを明確にする手法です。

# ブルーオーシャン戦略

  • 未開拓市場に潜入して、競合自体を無意味にする戦略です。
  • チャンキムは、競争の激しいレッドオーシャンを脱して、競合のいないブルーオーシャンを創造すべきと述べています。

# 製品

  • ニーズを満たすことを目的に市場へ提供され、消費の対象となる全てのものを言います。
  • 製品の価値は次の4つに分類されます。
    • 基本価値: 製品カテゴリに属するための基本的な価値のことです。
    • 便宜価値: 製品の購買や使用に関する使い勝手に関する価値のことです。
    • 感覚価値: 消費者の五感に訴求する価値のことです。
    • 概念価値: 品質/機能ではなく、製品の意味や製品にまつわるストーリーによる価値のことです。

# 製品コンセプト

  • 製品が顧客に与える価値を端的に示したものを言います。

# プロダクトミックス

  • 消費者に提供する製品の一覧です。

# 製品ミックス

  • 以下の種類があります。
    • 幅: 製品ラインの数
    • 深さ: 1つの製品ラインが有するラインの本数
    • 整合性: 生産、流通における関連度
    • 長さ: 企業が扱っている総アイテム数

# ブル戦略

  • 市場に製品を出して買ってもらうよう仕向ける戦略です。
  • 販売量は顧客の購買意欲や購買行動に委ねられます。

# プッシュ戦略

  • 顧客に対して買ってもらえるように積極的なアプローチを取る戦略です。
  • 訪問販売などです。

# 消費財

  • 消費者が個人的な消費のために購入する製品のことです。
  • コトラーは次の4つに分類しました。
    • 最寄品
    • 買回品
    • 専門品
    • 非探索品

# 最寄品(もよりひん)

  • 食料品や日用品など、消費者が頻繁に購買する消費財です。
  • その場で購入を決定し、類似品との比較は最小限の労力で行われます。

# 買回品(かいまわりひん)

  • 自身への適合性、品質、価格、スタイルなどをよく検討して購入する消費財です。
  • 大型家電や家具などで価格は高めに設定されています。

# 専門品

  • 固有の特性やブランドが確立されている製品です。
  • 高額なこともあり、消費者は製品の選定に努力を惜しみません。
  • 高級腕時計や高級アクセサリーなどです。

# 非探索品

  • 日常的には購入しない消費財です。
  • マイナスの関心(嫌悪感)を持っていることもあります。
  • 生命保険、墓石などです。

# 生産財

  • 組織が更なる加工や業務を遂行するために購入する製品のことです。
  • 多くの人が購入の意思決定に関わるため、購買行動が複雑で意思決定の時間がかかります。
  • コトラーは以下の3つの分類しました。
    • 材料/部品
    • 資本財
    • 製品/サービス

# 材料/部品

  • 買い手企業の製品の一部になるものを言います。

# 資本財

  • 生産設備や装置などを言います。
  • 寿命が長いです。

# 製品/サービス

  • 保守、修繕サービスなどのことを言います。

# 新製品開発

  • 企業の経済的価値を高めるために新しい製品を開発することです。
  • 以下のプロセスで実施されます。
    • アイデア創出
    • アイデアのスクリーニング
    • 事業性の分析
    • 新製品開発
    • テストマーケティング
    • 市場投入

# アイデア創出

  • 社内外の情報を集めるなど、アイデアを探索します。
  • ブレインストーミング、ブレインランディング、ゴードン法、ナインチェックリストなどによって検討されます。

# アイデアのスクリーニング

  • アイデアを審査し、不必要なアイデアを取り除くことです。
    • ドロップエラー: 潜在性の高いアイデアを誤って除去してしまうこと
    • ゴーエラー: 潜在性の低いアイデアを誤って進めてしまうこと

# 事業性の分析

  • 新製品の売上、コスト、利益の計画から企業目的を達成できるか判断します。
  • 定性的な評価では、顧客の選好から製品の特徴を明確にします。
  • 定量的な評価では、需要分析、コスト分析、競合分析などを行います。

# 新製品開発

  • 製品アイデアが具体的な製品として成り立つかを確認するため、プロトタイプを作成します。
  • 作成したプロトタイプを用いて消費者へのモニター調査などを行います。

# テストマーケティング

  • 実践的な状況で、他製品とのマーケティングミックスを検討します。
  • テストマーケティングの結果、金銭面、物流面、取引関係、企業イメージ、プロモーションなどの検討材料として改善を行います。

# 市場投入

  • 新製品を市場で売り出します。

# プロダクトライフサイクル

  • 製品が市場に登場してから消えるまでの売上と利益の推移を表したものです。
  • 製品は以下4種のステージに分類されます。
    • 導入期
    • 成長期
    • 成熟期
    • 衰退期

# 導入期

  • 新商品投入したばかりの段階です。
  • 製品の売り上げが伸びない上、プロモーションに多くのコストが発生するため、利益はマイナスかあってもごく僅かです。

# 成長期

  • 製品の売り上げが急速に増加し、市場も拡大します。
  • 競争企業の参入が増えてくるため、ブランドの確立が重要になります。

# 成熟期

  • 売上の成長鈍化が見られ、緩やかな成長か横ばいになります。
  • 成熟期はライフサイクルの中で最も長いです。
  • 自社独自のブランドポジションを確立する必要があり、製品イメージやパッケージによる差別化が必要になります。

# 衰退期

  • 消費者ニーズにマッチする代替品が市場に現れ、売上が急速に減少を始めます。
  • 撤退のタイミングを検討する必要があります。

# 計画的陳腐化

  • 製品を計画的に陳腐化させるマーケティング手法です。
  • 意図的に旧型化することで流行遅れにさせ、心理的に新たな需要を喚起します。
    • マイナーチェンジでも需要が発生します。
  • 陳腐化には3つの種類があります。
    • 機能的陳腐化: 機能や性能の新しいものを出すことによる陳腐化
    • 心理的陳腐化: デザインなどの新しいものを出すことによる陳腐化
    • 物理的陳腐化: 一定期間後に物理的に摩耗するよう設計することで起きる陳腐化。
  • 意図的に壊れる陳腐化を作る物理的陳腐化は、社会的責任を果たしているとは言えないので、陳腐化は2種類という考えの人もいます。

# 差別化

# 製品差別化

  • 自社の製品を他社の製品と区別してもらうため、製品の特徴を買い手に強調することです。
  • 差別化によって企業間の競争を避けることが目的です。
    • 特に企業間で価格の競争をした場合、お互いが不利益な状況になります。
  • 次のような要素で差別化を実現します。
    • 物理的な差異: 性能、機能、素材、品質など
    • イメージの差異: 企業イメージ、ブランド、ネーミング、デザイン、包装など
    • サービスの差異: 販売条件、アフターサービスなど

# 非価格競争

  • 価格で競争をするとお互いの企業が不利益を被るので、価格ではない要素で競争を行うことです。
  • 差別化とほぼ同じ意味です。

# パッケージング

  • 製品を入れる容器や包装紙のデザインのことです。
  • 輸送における保護だけでなく、デザインによって製品の魅力を高める効果があります。

# 個装

  • 物品1つ1つの包装のことです。

# 外装

  • 物流用の外部の放送のことです。
  • 段ボール、袋、缶などの容器に入れて、荷印などを施します。

# 内装

  • 物流における内部の包装のことを言います。
  • 水濡れ、湿気、熱、衝撃などからの保護を考慮した容器を選択します。

# バリアフリー

  • 障害有無、高齢者などを対象に考えられたデザインです。

# ユニバーサルデザイン

  • バリアフリーの観点だけでなく、国籍、年齢など、誰でも使えるように考えられたデザインです。

# 市場の細分化

  • 同じ製品でも市場が変われば需要があるという前提で、リーダーと異なる市場でシェアを獲得していくことです。

# 経験価値マーケティング

  • 製品に付随するサービスそのものをマーケティング対象とすることです。
  • ユニークな経験と結びつけたプロモーションが行われます。
  • 魅力的な景観により消費者の内面にアプローチし、ブランドロイヤルティを高めます。

# ブランド

  • 自社製品を他社製品と区別するための要素です。
  • 名前、デザイン、シンボルなどによって差別化を行います。
  • ブランド力が高まることで製品の付加価値を高めることができます。

# 価格プレミアム

  • ブランド力によって、同種の製品であっても他社より高価格で販売できる効果のことです。
  • 流通業者の支援が得られたり、プロモーションが容易になるなどの効果もあります。

# ブランドの機能

  • ブランドには次のような機能があります。
    • 保証機能: どのブランドが、どこで誰によって作られたかの出所を示す機能
    • 差別化機能: 消費者が類似製品と区別して識別できる機能
    • 想起機能: ブランドが持つ意味や価値を消費者に思い起こさせる機能

# ブランド再生

  • 特定の製品カテゴリーにおいて想起されるブランドのことです。

# ブランド連想

  • ブランドを提示することで何らかのイメージを想起させることができるブランドのことです。

# ブランドエクイティ

  • ブランドによって製品に付与される価値のことです。
  • 明確に差別化された製品は高いブランドエクイティを持つので、新規参入の障壁を高めることができます。
  • ブランドが持つプラスのイメージ、マイナスのイメージを合算した総和で価値が判断されます。

# ブランドアイデンティティ

  • ブランドによって消費者に伝達したいことを明確にしたものです。

# ブランドパーソナリティ

  • ブランドが持つ特徴やイメージのことです。
  • 消費者は自分の価値観に合うブランドを選択します。

# ブランド認知

  • ある製品カテゴリーに対象のブランドが含まれていることを認識できることです。
  • ブランド認知には2つの要素があります。
    • 深さ: ブランドを思い出す容易さ
    • 幅: そのブランドが思い出される状況の広さ

# 知覚品質

  • 消費者がブランドに持つ主観的な評価のことです。

# ブランド知識

  • ブランドから想起されるあらゆる知識(感情、イメージ、信念など)のことです。
  • 消費者が持つイメージにより、売り上げや利益が変動します。

# ブランド要素

  • 自社製品を他社製品と区別する要素のことです。
  • ブランドを構成するする基本の4構成は以下の通りです。
    • ビジュアル(視覚)
    • サウンド(聴覚)
    • タッチ(触覚)
    • 言語

# ナショナルブランド

  • メーカーとブランドが同じ企業にある状態を言います。
  • テレビCM等を通じて幅広く宣伝をしていることが多く、知名度が高いです。
    • その分、製品コストが割高です。

# プライベートブランド

  • 小売業者や卸売業者が所有するブランドのことです。
  • 消費者の情報を活かし、ニーズに合う商品を展開できるため、安価に提供することができます。
  • 流通業者が企画し、メーカーに生産を委託するケースが多いです。
    • ただし、生産された製品全ての買取が求められることも多く、売れ残りのリスクがあります。
  • ストア内の品揃えでプライベートブランドの構成比が高まると、顧客の不満を招く可能性があります。

# ジェネリックブランド

  • ブランドとして商標などを使用せず、製品名などをシンプルに記載したものです。
    • ノーブランドとも言います。
  • 包装、広告、製品開発などのコストを削減できるので、安価に提供することができます。
  • 品質や価値を低く見られてしまうことがあります。

# ミックスドブランド

  • メーカーが、同じ製品をナショナルブランドとプライベートブランドのそれぞれで供給することです。
  • 小売店に並ぶブランド名は違いますが、中身は全く同じものです。

# ブランドライセンシング

  • ブランド保有者が第三者に対してブランドを使用する権利を与えることです。
  • ブランド利用料を取ることができます。

# コブランディング

  • 2つの企業が同一の1製品にブランドを使用することです。
  • 二重ブランディングとも言います。
  • 各ブランドが持つプラスの影響が重なって売上につながることが期待されます。
  • 一方、マイナスのイメージでブランド力(特に想起される力)が弱くなってしまうこともあります。

# 成分ブランディング

  • 製品に含まれる原材料や部品をブランドとして使うことです。
  • 例えば、PCのプロモーションで「インテルはいっている」というフレーズが該当します。(良い部品が使われている)

# アンゾフの製品市場マトリクス

  • ブランドの新規性と市場の新規性を掛け合わせて4象限に分類するフレームワークです。
ブランドの新規性 市場の新規性 戦略
既存 既存 ブランド強化
既存 新規 ブランド拡張
新規 既存 マルチブランド
新規 新規 新ブランド

# ブランド強化

  • 製品、市場を変更せずにマーケティング戦略を強化することです。
  • ブランドの浸透を高めて売上拡大を目指します。
  • カニバリズム(自社製品で競合すること)に注意が必要です。

# ブランド拡張

  • 新しい市場に製品を展開することです。
  • 高価格製品を低価格市場に展開すると、ブランドのイメージが悪化することがあります。

# マルチブランド

  • 既存市場に別のブランドを投入することです。
  • 古いブランドから切り替えることを視野に入れていることが多いです。

# 新ブランド

  • 新市場に新ブランドを投入する挑戦的な戦略です。
  • 最もリスク/リターンが大きく、飲料・食品、自動車、家電製品などの業界ではよく行われています。

# 企業ブランド

  • ブランド名に企業の名称を使うことです。

# 製品ブランド

  • 製品に名前をつけて、その名称でブランディングすることです。

# ファミリーブランド戦略

  • 1つの強力なブランドのもとに、複数のサブブランドを用意する戦略です。
  • 例えば、企業ブランドをベースに製品ごとのサブブランドを作るようなケースがあります。

# ダブルブランド戦略

  • 1つの製品に二重のブランドをつける戦略です。

# ダブルチョップ

  • ダブルブランド戦略の1つです。
  • メーカーのブランドと、小売業者のブランドを重ね合わせたブランド名を使います。

# ブランドプラスグレード戦略

  • 製品にグレードを用意することで、ターゲットを細分化する戦略です。
  • 自動車メーカーによく見られます。
    • 例えば、BMW 3/BMW 5/BMW 7シリーズなど

# 個別ブランド戦略

  • 製品ごとに個別のブランドを用意する戦略です。

# 価格

  • 価格は次の3つの要素で表現されます。
    • 支出の痛み: 消費者が支出を痛いと感じること
    • 品質バロメータ: 価格から品質を推し量ること
    • プレステージ性: 価格の高さから地位の高さを感じること

# コスト志向型価格設定

  • コストをもとにして価格設定を行うことです。

# コストプラス法

  • 製造原価に自社のマージンを加えた価格を販売価格にする方法です。
  • 主に製造業で使用されます。

# マークアップ法

  • 仕入れ原価にマージンを加えて販売価格にする方法です。
  • 主に流通業で使用されます。

# 需要思考型価格設定

  • 需給関係をもとに、最大の利益が得られる価格設定を選択する方法です。

# 知覚価格設定法

  • ある製品に消費者が払うだろう金額(知覚価格)を設定して、販売価格を決める手法です。
    • 価格の高い製品: 品質が高そうだと思わせる

# 競争思考型価格設定法

  • 競合企業がつけている価格に基づいて、自社製品の販売価格を決める手法です。

# 実勢価格

  • 業界内の平均価格に基づいて自社の販売価格を決めることです。

# プライスリーダー

  • 記入前

# 入札価格

  • 記入前

# 上澄み吸収価格戦略

  • 新製品に高い価格を設定して、イノベーターやアーリーアダプターを対象に販売する戦略です。
  • 製品の普及に伴って価格を徐々に下げていく手法が取られます。
  • スキミングプライシングとも言います。

# 市場浸透価格戦略

  • 新製品にあえて低い価格を設定して、価格に敏感な顧客を対象に販売する戦略です。
  • ペネトレーションプライシングとも言います。

# 端数価格戦略

  • 記入前

# 移行価格戦略

  • 記入前

# 慣習価格戦略

  • 記入前

# 抱き合わせ価格戦略

### プライスライニング戦略

  • 記入前

# キャプティブ価格戦略

  • 記入前

# 差別価格戦略

  • 記入前

# Hi-Lo価格戦略

  • 記入前
  • ハイロープライシングとも言います。

# EDLP価格戦略

  • 記入前

# 価格感度測定法

  • 記入前
  • PSM法(Price sensitivity measurement)とも言います。

# 最低品質保証価格

  • 記入前

# 妥協価格

  • 記入前

# 理想価格

  • 記入前

# 最高価格

  • 記入前

# ターゲット子スティング

  • 記入前

# 割引

# 現金割引

  • 記入前

# 数量割引

  • 記入前

# 機能割引

  • 記入前

# 季節割引

  • 記入前

# 販売促進割引

  • 記入前
  • アロウワンスとも言います。

# リベート

  • 記入前

# 需要

# 需要の価格弾力性

  • 記入前

# 需要の交差弾力性

  • 記入前

# 流通

# 流通チャネル

  • 記入前

# 流通機能

  • 記入前
  • 流通の機能を分解すると、次の3つがあります。
    • 商用流通機能
    • 物的流通機能
    • 情報流通機能

# W/R比率

  • 記入前

# チャネル選択

  • 記入前

# チャネル管理

  • 記入前

# チャネルリーダー

  • 記入前

# 伝統的な流通チャネル

  • 記入前
  • CDC(Vomventional distribution channel)とも言います。

# 選択的チャネル政策

  • 記入前

# 閉鎖的チャネル政策

  • 記入前

# 流通の系列化

  • 記入前

# 専売制

  • 記入前

# 一店一帳合制

  • 記入前

# テリトリー制

  • 記入前

# ジャストインタイム

  • 記入前

# トータルロジスティクス

  • 記入前

# 業態

# 小売業の特徴

  • 記入前

# 卸売業の特徴

  • 記入前

# チェーン

# レギュラーチェーン

  • 記入前
  • RC(Regular chain)とも言います。

# フランチャイズチェーン

  • 記入前
  • FC(Franchaise chain)とも言います。

# ボランタリーチェーン

  • 記入前
  • VC(Voluntary chain)とも言います。

# 国際フランチャイズ

  • 記入前

# ダイレクトフランチャイズ

  • 国際フランチャイズの一種です。
  • 記入前

# マスターフランチャイズ

  • 国際フランチャイズの一種です。
  • 記入前

# サブフランチャイズ

  • 国産フランチャイズの一種です。
  • 記入前

# 注文

# 保管

  • 記入前

# 在庫管理

  • 記入前

# 輸送

  • 記入前

# 物流効率化の手法

  • 記入前

# 3rdパーティロジスティクス

  • 記入前

# マーケティングシステム

# 垂直的マーケティングシステム

  • 記入前
  • VMS(Vertical marketing system)とも言います。

# 企業型VMS

  • 記入前

# 契約型VMS

  • 記入前

# 管理型VMS

  • 記入前

# パワー/コンフリクト

# パワー

  • 記入前

# コンフリクト

  • 記入前

# 生産と販売

# 製販同盟

  • 記入前

# 機能的戦略提携

  • 記入前

# ECR

  • 記入前
  • ECR(Efficient consumer response)とも言います。

# 包括的戦略提携

  • 記入前

# サプライチェーンマネジメント

  • 記入前

# SPA

  • 記入前
  • SPA(Speciallity store retailer of private label apparel)です。

# 延期の理論

# 延期ー投機理論

  • 記入前

以上