Publish: 2023/11/7

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# 法務 キーワード集

  • 経営法務の問題に出てくるキーワードを整理したものです。

注意事項!

個人的に調べた内容を記載しておりますが、その内容に関する保証はありません。
もし、誤っている箇所に気付いた場合は、こっそり教えて頂けると幸いです。

# 民法の原則

# 私的自治の原則

  • 誰とどのような取引をするかは個人の自由であることを示す原則です。

# 過失責任の原則

  • 故意、過失がない限り、賠償責任を負わないことを示す原則です。

# 法律用語

# 故意

  • どのような結果になるか認識した状態で、その行為をすることです。
  • わざとモノを壊す等の行為が該当します。

# 過失

  • 本来はどのような結果をもたらすか想像できるはずだが、不注意で認識できていない状態のことです。
  • 左右確認せずに車を発進させてしまう等の行為が該当します。

# 自然人

# 制限行為能力者

  • 単独では完全な法律行為を行ない者のことです。
  • 具体的には以下の者をいいます。
    • 未成年者
    • 成年被後見人
    • 被保佐人

# 成年

  • 大人になる年齢のことです。
  • 2022年の民法改正で18歳から成年となりました。
  • 成年は行為能力(自ら法律行為ができる能力)を持つ者となります。
  • 18歳未満の者は未成年といいます。

# 未成年者の取引

  • 未成年者が法律行為をするときは法定代理人(保護者)の同意が必要です。
  • 法定代理人の同意が得られていない契約は、未成年者本人や法定代理人によって契約を取り消すことができます。

# 契約

  • 複数人の意思表示が合致することで成立する約束です。

# 諾成契約

  • 当事者間の合意だけで取り交わす契約を諾成契約と言います。
  • 口約束(口頭による合意)も契約として有効に作用します。

# 要物契約

  • 物の取引を必要とする取引を要物契約と言います。

# 片務契約

  • 契約当事者のうち一方のみが債務を負う契約のことです。
  • 使用貸借や贈与が該当します。

# 双務契約

  • 契約当事者が相互に債務を負う契約です。譲渡する際に対価を求めるような場合が該当します。
  • 売買/賃貸借/雇用 などが該当します。

# 手付金

  • 売買契約の際に買い手から売り手に支払われる金銭のことです。
  • 手付金が含まれる契約の解除では、手付金は以下のように扱われます。
    • 買い手都合の場合: 契約解除に伴い、手付金は放棄します。
    • 売り手都合の場合: 契約解除にあたり、手付金の倍額を買い手に返す必要があります。

# 消費貸借

  • 金銭や消費物を貸し出し、後からそれと同じ価値の物を返還する約束の契約です。
  • 借りたものそのものではなく同等の物を返済することを約束します。

# 賃貸借

  • 物を使用させることを約束する代わりに賃料を支払う契約です。
  • 貸し手を賃貸人、借り手を賃借人と言います。
  • 賃貸借では双方に下記のような効力が生じます。
    • 賃貸人は、賃借人がそれを十分に使用できるよう、必要な修繕を行う義務があります。
    • 賃借人が賃借物に対して、本来は賃貸人が負担すべき費用を支出した場合、賃貸人に対して請求を行う権利があります。
    • 賃借人は、賃貸人の許可なく賃借の権利を譲渡することはできません。
    • 賃借人は、賃貸人の許可なく転貸することができません。
  • 賃貸借を終了する場合、当事者はいつでも解約を申し出ることができますが、解約には予告期間が必要です。
    • 期間満了に伴う更新のタイミングであれば、当事者の意志で賃貸借を終了できます。ただし、賃貸人からの契約終了には正当な理由が必要です。

# 請負

  • ある仕事(目的物)を完成させることと、その報酬を払うことを約束する契約です。
  • 請負契約により以下の効力が発生します。
    • 目的物に問題があった場合、注文者は補修または損害賠償を請求できます。
    • 目的物に問題があって請負契約の目的が果たせない場合、注文者は契約を解除できます。
    • ただし、目的物の問題が注文者の提供する材料や指示に起因する場合、補修/損害賠償/契約解除はできません。
  • 目的物が完成する前であれば、注文者はいつでも契約を解除できます。ただし、その際に発生した請負人への損害賠償は必要になります。

# 委任

  • 委任者がやるべきことを受任者に委託する契約です。
  • 受任者は自身の裁量で事務を処理し、目的物の完成を問わず報酬を得る権利があります。
  • 受任者は裁量を与えられる代わりに以下の義務が生じます。
    • 善管注意義務: 最低限の注意を払って事務を行う義務です。
    • 報告義務: 委任者の要求があれば委任事務の処理状況を報告しなくてはなりません。また委任終了時も経過あるいは結果を遅滞なく報告しなくてはなりません。
    • 権利移転: 委任事務の処理にあたって得た利益やその他の物は委任者に引き渡さなくてはなりません。

# 寄託

受寄者が寄託者のために物の保管を行うことです。

# 使用貸借

  • 無償で物を貸し借りすることです。

# 法律行為

# 意思表示

  • 権利や義務について、行使、変更、放棄などの意思を表現することです。
  • 意思表示は3段階のステップがあります。
    • 効果意思: 法律による効果を得たいと欲することです。当事者の頭の中にある考えです。
    • 表示意思: 意思表示をしようと考える段階です。この段階でも当事者の頭の中だけの考えです。
    • 表示行為: 効果意思を外部に伝えることです。
  • 民法では効果意思(頭の中の考え)を尊重する考えがあります。例外的に、表示行為を原則とする契約もあります。

# 意思表示の効力発生タイミング

  • 意思表示の効力が現れる(つまり契約が成立する)タイミングは、2つの考え方があります。
    • 到達主義: 相手に伝わったタイミングで効力が発生するという考え方。こちらが原則です。
    • 発信主義: 通知を発信したタイミングで効力が発生するという考え方。遠隔地にいる相手との契約は、承諾を発信したタイミングで成立します。

# 無効

  • 契約内容に不備がある等の場合、その契約は効力を持っていないとすることです。
  • 契約が無効であるにも関わらず一部を履行してしまった場合は、不当利得として扱います。
  • 不当利得は、損失を被った人が不当利得返還の請求を行うことで、取り戻すことができます。

# 取り消し

  • 契約当時に遡って意思決定を無かったことにする行為です。

# 心裡留保

  • 意思表示者が本人の意図とは違う意思表示をすることです。たとえば冗談などのことです。
  • 契約の相手は効果意志(意思表示者の頭の中)を認識することができないので、原則として交わした契約は有効になります。
  • ただし、意思表示に悪意や過失がある場合、契約は無効となります。

# 錯誤

  • 何らかの間違いで、真意とは異なる意思表示をしてしまうことです。
  • 原則として無効にできますが、意思表示者に重大な過失がある場合は無効にすることができません。
  • 錯誤による契約の無効化は、意思表示者が無効であることを示さないと効果を発揮しません。
    • 取り消しに近い考え方なので、取消的無効とも呼ばれます。

# 過失

  • 一般人に期待される注意が欠けている状態を言います。
    • 重過失: 著しく注意が欠けていると判断される場合は重過失と言います。
    • 軽過失: 不注意や善管注意義務の違反は軽過失です。

# 代理

  • ある契約者本人に変わり、代理の人が契約の意思表示をする制度です。

# 法定代理

  • 法律の定めによって代理権が与えられることです。
  • 例えば以下のようなケースがあります。
    • 未成年に対する親権者
    • 相続における財産管理人
    • 遺言の執行者

# 無権代理

  • 代理権を持たない人が代理人と偽って契約をする行為です。
  • 原則として無効です。
  • ただし、後から本人が正当な代理人だと認める場合(追認)は、契約が有効になります。
  • 無効になった場合、不正な代理人は契約を履行するか損害賠償をしなければならなくなります。

# 期限の利益

  • 契約の期限が到達するまでの間に得られる利益のことです。
  • お金の貸し借りにおいては、借りている側が期限の間まで返済しなくて良いので、期限の利益を得ている状態です。
  • 期限の利益は以下のケースで消失します。(すぐに返済するよう求められる)
    • 債務者(借り手)の破産手続き開始が決まったとき
    • 担保権を侵害したとき
    • 担保提供の義務を履行しないとき

# 時効

  • 一定期間(あるいは一定条件)で権利を行使しない場合、権利を消失することです。
  • 各権利は以下の条件で時効となります。
    • 債権: 10年間行使しない場合
    • 財産権: 20年間行使しない場合
    • 損害賠償請求: 損害内容と加害者を知ってから3年、または不法行為から20年経過した場合
    • 商行為の債権: 5年間経過した場合

# 物権

  • 目的の物を占有して利益を得る権利です。

#

  • 有体物のことです。
  • 動産と不動産に分類されます。

# 不動産

  • 土地とそこに定着する物のことです。建物や立ち木等を指します。
  • その土地に定着しているものとして、樹木や塀といった建物以外の物は土地の一部として扱われます。
  • 不動産は登記によってその権利を示すことができます。

# 動産

  • 土地やその定着物以外の有体物を動産と言います。

# 担保物権

  • 債権の担保を目的とする物件です。
  • 債権が返済できないときに備えて債権者が確保する物に対する権利です。

# 担保物権の性質

  • 担保物権には4つの性質があります。
    • 付従性: 債権が消滅したら担保権も消滅する性質
    • 随伴性: 債権が移動したら担保権も移動する性質
    • 不可分性: 債権の全てを返済するまで担保権が継続する性質
    • 物上代位性: 担保の物件に消失や損傷があった場合、代わりの価値があるもの(保険金など)に対して担保権を行使できる性質

# 債権/債務

# 債権の発生条件

  • 4つの発生事由があります。
    • 契約: 当事者間の意思表示が一致すること
    • 事務管理: 法律上の義務がないにも関わらず他人のために事務処理を行うこと
    • 不当利得: 他人の財産や労務によって利益を得ること
    • 不法行為: 法律上保護されるべき利益を侵害すること

# 債務不履行

  • 債務者が履行しなかった時の状態です。
  • 履行されない場合、債権の強制履行が実施されます。

# 履行遅滞

履行の時期になっても債務を履行しないことです。

# 履行不能

債務者の都合で履行できないことです。

# 不完全履行

履行したものの、本来の趣旨に沿っていない状態をいいます。

# 強制履行

  • 債務者が債権者の趣旨に沿って動かない場合、国の権力を使って強制的に履行することです。

# 債権者代位権

  • 債権者の権利を守るため、債務者が持っている権利を代わりに行使する権利です。
  • 例えば以下のようなケースがあります。
    • 企業Aから相手Bにお金を貸している状況を想定します。
    • また、相手Bは取引先Cへの売掛金があるとします。
    • この場合、企業Aは取引先Cに対して直接に引渡請求を行うことができます。
  • このように、相手Bに代わって(代位で)取り立てを行う権利が発生します。

# 詐害行為取消権

  • 債権者が自分の債権を守るため、詐害行為を取り消すことができる権利のことです。
  • 詐害行為は、債権者に害をもたらすと知りながら行われる債務者の行為を言います。
    • 例えば、借りたお金を他人に贈与する等
  • このような行為に対し、債権者が取り消しを行うことができます。
  • ただし、取り消しは裁判所の手続きを経て実施する必要があります。

# 保証債務

  • 債務者が履行しなかった場合、あらかじめ設定した保証人が代わりに履行責任を負う契約のことです。

# 保証債務の性質

  • 保証債務には以下の性質があります。
    • 付従性: 主たる債務が存在する限り保証債務も存在を続けます。また、保証債務は主たる債務より大きくなることはありません。
    • 随伴性: 主たる債務が移転された場合、従たる保証債務も移転されます。
    • 補充性: 主たる債務が履行されないときに限り保証人に履行義務が生じます。いきなり保証人に請求することはできません。
  • 債権者がいきなり保証人に履行請求をしてきた場合、催告抗弁権/検索抗弁権を行使することができます。

# 催告の抗弁権

  • 債権者が債務履行を要求してきた場合、保証人は、まずは主たる債務者に催告するよう請求することができる権利です。

# 検索の抗弁権

  • 債権者が債務履行を要求してきた場合、保証人は、まずは主たる債務者に強制履行などをするように請求できる権利です。

# 求償権

  • 保証人が主たる債務者に代わって弁済をした場合、保証人から主たる債務者に対して求償できる権利です。

# 連帯保証

  • 複数の債務者が同じ債務をそれぞれ独立して全責任を負う債務です。
  • 誰か一人でも債務を履行すれば、他の債務も全て消滅します。
  • 債権者は全ての債務者に対して全額の弁済を請求することができます。
    • 例えば、100万円の借金を3名の連帯保証とした場合、3名に対して同時に100万円の返済を求めることが可能です。
  • 連帯責任の場合、債権者がいきなり弁済請求をしてきたら債務を履行する義務が発生します。(抗弁権が無いということです)

# 相続

  • 死亡した人の財産を相続人が引き継ぐことを言います。
  • 相続財産にはプラスの財産(積極財産)だけでなく、借金などのマイナスの財産(消極財産)も含まれます。
  • 複数の相続人の間でどのように分配するかが争点となります。

# 相続の放棄/承認

  • 相続を承認すると、積極財産だけでなく消極財産も包括的に引き継ぐことになります。
  • 消極財産が多い場合などのため、相続を放棄することもできます。
  • 積極財産だけを承認するような相続はできません。

# 指定相続分

  • 遺言に従って行われる相続です。
  • 指定相続と言います。

# 法定相続分

  • 遺言がない場合、民法で定める割合で分配を行います。
  • 法定相続と言います。

# 法定相続人

  • 遺言がない場合の相続について、民法で定められた分配の優先順位のことです。
  • 以下の順序で分配を行います。
    • 第1順位: 子と配偶者
    • 第2順位: 直系尊属(親)と配偶者
    • 第3順位: 兄弟姉妹と配偶者

# 養子縁組届

  • 養子における法律上の親子関係を築くための法的手続きです。
  • 書類提出だけでなく、家庭裁判所の許可も必要になります。

# 普通養子

  • 法的な親子関係を維持したまま、養子として別家庭で暮らしていている子供のことです。
  • 養親の財産だけでなく、実の親の財産も相続可能です。

# 特別養子

  • 育ての親に戸籍を移している子供のことです。
  • 養親の財産は相続可能ですが、実の親の財産は相続できません。

# 第1順位の配分

  • 子がいる場合、第1順位の配分が適用されます。
  • 子は1/2、配偶者は1/2の割合で財産を分配します。
    • 子が複数人いる場合、子の取り分である1/2をさらに分割します。
    • (例)子が2人の場合、子Aと子Bは1/4ずつ、配偶者が1/2を相続し亜mす。
  • 親子/婚姻の関係次第で、相続できる場合とできない場合があります。
  • 法律上の親子関係を持つ子供、婚姻関係のない両親の子供は、相続可能です。
  • 婚姻届を出していない事実上の夫婦(内縁の配偶者)は相続できません。

# 第2順位の配分

  • 子がいない場合、第2順位の配分が適用されます。
  • 直系尊属(親)が1/3、配偶者は2/3の割合で財産を分配します。
  • 直系尊属の相続は関係の近い人だけが相続対象となります。
    • 両親/祖父母がいる場合、関係の近い両親だけが相続の対象となります。

# 第3順位の配分

  • 子も直系尊属もいない場合、第3順位の配分が適用されます。
  • 兄弟姉妹が1/4、配偶者が3/4の割合で財産を配分します。
  • 父母の異なる半血兄弟姉妹の場合、相続分は半分になります。

# 遺留分

  • 相続人が相続に期待する利益を保護するため、相続財産の一定量を確保する制度です。
  • 配偶者/子/直系尊属に与えられる権利であり、兄弟姉妹は遺留分がありません。
  • 例え遺言があったとしても、以下の割合は相続対象となります。
    • 直系尊属のみが相続人に指定されている場合、財産の1/3を遺留分とします。
    • それ以外の場合、財産の1/2を遺留分とします。
  • 遺留分を相続する場合、法定相続に則った割合で分配します。

# 遺留分減殺請求権

  • 遺留分は、遺留分の権利者が請求することで分配されます。
  • 手続きは相手に伝えるだけで効力を発揮します。
  • 遺留分減殺請求権は、相続を知った時から1年、相続日から10年で時効を迎えます。

# 遺留分の放棄

  • 家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄することができます。
  • ただし、遺留分放棄をした当人だけに効力があり、他の相続人は遺留分には影響を与えません。

# 遺留分の特例(経営承継円滑化法)

  • 推定法定相続人と承継者全員の合意があれば、遺留分を事前に取り決めることができます。
  • 特に中小企業の事業継承を図る制度で、相続に伴って株式が他に移り経営が困難になることを避ける目的があります。
  • 遺留分の特例は除外合意と固定合意があります。
    • 除外合意: 一定金額を遺留分算定の財産に含めないことの合意です。
    • 固定合意: 遺留分算定の財産の価額をあらかじめ固定する合意です。
  • 遺留分の特例を受けるには以下の条件を満たす必要があります。
    • 3年以上継続して事業を行なっていること
    • 非上場の中小企業であること
    • 合意内容を経済産大臣と家庭裁判所で認めてもらうこと

# 知的財産権

  • 知的な創造活動によって生み出されたものについて、創作者に一定の保護権利を与える制度です。
  • 著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、回路配置利用権、育成者権などがあります。

# 産業財産権

  • 知的財産権のうち産業の発展を目的としたものを言います。
  • 具体的には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つを指します。

# 知財関連条約

# パリ条約

  • 工業所有権(特許、商標、実用新案、意匠など)を保護するための同盟です。
  • 国内で出願した日付から一定期間内の間は、同盟各国でも優先的な出願ができます。
    • 特許/実用新案は12ヶ月、意匠/商標は6ヶ月の優先期間があります。

# 特許協力条約(PCT: Patent Cooperation Treaty)

  • 特許は各国ごとに出願方式が異なるため、その出願方式を統一したものです。
  • 統一した出願書類を送ることで、加盟国に対して出願するのと同じ効果を得ることができます。
    • 出願のみであり、別途審査が実施されます。
  • 日本から出願する場合、処理の書類を日本語または英語で提出します。
    • ただし、各国で審査を行うために指定された期間内に翻訳版を提出する対応が必要になります、。

# 特許法条約(PLT: Patent Low Treaty)

  • 特許出願の手続きを統一&シンプル化する目的の条約です。
  • PCTで規定された内容を準用しているので、PCTを守っていればPLTも有効になります。(本当か?要確認)

# 欧州特許条約

  • 欧州では国別の特許だけでなく、欧州特許局(EPO: European Patent Office)が発行する欧州特許があります。
  • 欧州特許は単一の手続きで複数国の特許取得と同義になるため、特許の束とも呼ばれます。

# ハーグ協定のジュネーブ改正協定

  • 単一の手続きで複数国の意匠権を取得できるようにする条約です。

# 商標法条約

  • 各国における商標手続きをシンプル化することを目的とした条約です。

# シンガポール条約

  • 商標出願における救済措置を定めた条約です。

# マドリッド協定

  • 商標の国際登録を受けることにより、指定締約国においてその保護を確保できる協定です。
  • 国際登録は、世界知的所有権機関(WIPO)国際事務局が管理する国際登録簿に登録することです。

# ベルヌ条約

  • 著作権に関する基本条約です。

# TRIPS協定

  • 国際的な自由貿易を形成するため、著作権を含む知的財産についてWTO加盟国が一律に遵守すべき最低基準を定めたものです。

# 特許の概要

  • 産業財産権の1つで、発明を排他的かつ独占的に使用する権利です。
  • 特許登録しなければ効力は発揮されません。

# 特許登録の要件

  • 特許の登録には5つの要件があります。
    • 特許法における発明であること
    • 特許法29条の特許要件を満たすこと
    • 不特許事由に該当しないこと
    • 先願であること
    • 公報掲載または出願公開されていない発明であること

# 特許法における発明

  • 発明には4つの要件があります。
    • 自然法則の利用: 自然科学の反復性があること
    • 技術的思想:知識として伝達できる客観性があること
    • 創作性: これまでなかったものを人為的に作り出していること
    • 高度性: 実用新案と区別するための要件

# 特許の有効期間

  • 出願の日から20年間が存続期間です。

# 特許法29条の特許要件

  • 特許登録のためには特許法29条が示す3つの要件を満たす必要があります。
    • 産業利用可能性: 産業に利用できる発明であること
    • 新規性: まだ社会に知られていないアイデアであること
    • 進捗性: その分野の人が容易に発明できないこと

# 新規性の喪失事由

  • 次の3つの事由に1つでも該当すれば新規性が喪失したものとみなされます。
    • 公知: 発明が特許出願前に知られることです。守秘義務を持たない1人に知られれば公知と判断されます。
    • 公用: 発明が特許出願前に実施されることです。
    • 公衆利用可能性: 刊行物やインターネットによって公衆が利用可能になることです。

# 不特許事由

  • 公益に反する発明は特許を受けることができません。

# 先願特許

  • 特許法は先に出願した人の申請を優先する考え方があります。これを先願主義と言います。
  • 異なる日付で同じ内容の特許申請があった場合は、先に出願した人の特許が優先されます。
  • 同じ日に同じ内容の特許申請があった場合は、当事者の協議によっていずれか一方のみが特許登録されます。

# 特許を受ける権利

  • 特許登録前に発明者が有している権利のことです。
  • この権利は発明の完了と同時に発生し、発明者個人(自然人)に帰属します。
  • なお、法人は自然人ではないので発明者になることはできません。ただし、権利を譲渡して受け取ることができます。

# 権利の譲渡

  • 特許を受ける権利は他の人に譲渡することができます。
  • 権利の譲渡は3つの種類があります。
    • 予約承継: 契約や就業規則によってあらかじめ権利譲渡を定めておく手法です。
    • 一般承継: 相続や会社合併による権利の譲渡です。
    • 特定承継: 売買などによって権利を譲渡することです。
  • 一般承継および特定承継は、承継人は遅滞なく特許庁長官に届け出なくては効力を発揮しません。

# 冒人出願

  • 特許を受ける権利を持たない人による出願のことを言います。
  • 本来の権利者は、冒人出願をした人に対して特許権の移転を請求できます。

# 共同発明

  • 複数人で行った研究で成し得た発明は、その全員が特許を受ける権利を共有します。
  • 特許を受ける権利を譲渡しようとする場合、権利者全員の合意が必要になります。
  • 共同発明の特許を受ける場合、他の権利共有者と共同でないと出願できません。

# 職務発明

  • 発明のうち、現在または過去の業務に属するものは職務発明と言います。
  • 予約承継(就業規則等)によって使用者(会社側)に専用実施権を設定することができます。
  • 専用実施権の移転を定める場合、従業員は相当のインセンティブを得ることができます。
    • インセンティブは経済価値があるものでなくてはなりません。
    • OK: 昇進・昇格、金銭、ストックオプション等
    • NG: 表彰、名誉を称える

# 特許の登録手続き

  • 特許は、出願・審査・特許査定・特許料の支払いを経て登録されます。

# 出願書類

  • 出願書類(願書)を作成して特許庁長官に提出することで出願となります。
  • 願書には以下の情報を記載します。
    • 氏名
    • 住所
    • 明細書(名称、図面の概要、詳細を記載)
    • 特許範囲
    • 図面及び要約書

# 出願公開

  • 出願から1年6ヶ月が経過した場合、審査状況に関わらず出願内容が公開される制度です。

# 実用新案権に基づく特許出願

  • 実用新案権を有する人は、それに基づいて特許を出願する権利を持ちます。
  • ただし、実用新案権の出願から3年が経過している場合は特許出願ができません。
  • 特許出願にあたって実用新案権は放棄しなくてはなりません。

# 特許審査

  • 特許登録にあたり、方式審査・実態審査の2種類で審査が実施されます。

# 出願審査請求

  • 出願後3年以内に出願内容を審査する請求をすることで審査が実施されます。

# 方式審査

  • 形式的な審査です。以下の事項を確認します。
    • 出願の条件を満たす者からの申請であるか
    • 出願に必要な情報が記載されているか
    • 手数料が納付されているか

# 実態審査

  • 特許の登録要件を満たしているか実質的な審査が行われます。

# 特許料の納付

  • 査定が実施された結果、出願人に特許査定謄本が送付されます。
  • 特許査定謄本が届いてから30日以内に3年分の特許料を払うことで特許権を得ることができます。

# 特許の異議申し立て

# 拒絶査定不服審判

  • 特許出願人は、審査によって登録拒絶の判断がされた場合、その判断に不服があれば審査官に不服審判を請求することができます。

# 特許異議申し立て

  • 特許人でない者も登録から6ヶ月以内であれば異議を申し立てることができます。

# 特許無効審判

  • 特許に関する利害関係者は、登録された特許を無効にする審判を請求することができます。

# 特許権の効力

  • 特許権者は、生業として特許発明を実施する権利を占有します。
    • 「生業として」という前提があるように、個人的/家庭内での実施は除きます。

# 発明の実施

  • 特許における「実施」は、特許の種類によって異なります。
    • モノの発明の場合
      • そのモノの生産、使用、譲渡
      • プログラムの場合、電子的な提供も含まれます。
      • 輸入/輸出行為
    • 方法の発明の場合
      • その方法を使用すること
      • その方法で生産された製品を使用/譲渡/輸出入を行うこと

# 特許独占権

  • 特許権者のみが生業として発明を実施できる権利を専有します。

# 特許排他権

  • 権限のないものが発明を無断で実施した場合、それをやめさせることができる権利です。

# 特許のスコープ

  • 特許出願人が指定する特許を受ける範囲のことです。

# 特許権の消滅

  • 特許権は、出願から20年で自然消滅します。
  • あるいは、特許権者の意思で権利を消滅させることができます。
    • ただし、

以上